全館再開のお知らせ

せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

52「ヨミカキソロバン」

情報の読み書き能力を意味する「メディアリテラシー」という言葉を耳にするようになってもう十数年がたちます。この間、その名のもと、誰もが最新の情報処理能力を身につけることで、情報社会の恩恵を手にしつつ氾濫する情報に潜む闇を遠ざけられるよう、さまざまなかたちで取り組みが進められてきました。寺子屋以来定番のヨミカキソロバンのまさに現代版でもあり、人によっては今さらよけいなお世話だと感じたり、押しつけがましいと感じたりすることも少なくなかったかもしれません。しかしこれはまた、市民ひとりひとりが主体的で適切な情報活用力をもつ社会、すなわち一部のひとびとによって情報が独占されたり統制されたりすることのない社会をつくろうとする、きわめて政治的(良い意味で)な取り組みでもあります。
市民の情報活用を促進しようとするメディアテークにとっても、メディアリテラシーは開館準備段階からの最重要課題のひとつでした。課題の大きさのわりに実際にやれていることは小さいのですが、私たちとしてはこれを単にメディアの問題としてだけでなく、公共空間のより豊かな共有、社会を構成する多様な個性や障がいの包摂、地域固有の価値の伝承や再発見、未知への探求や創造活動の理解に向けた取り組みとしても積極的に進めていければと考えています。ひとりひとりの学びによってより豊かな社会を育てていくという考えかたは、一見時間がかかりそうですが、表層的な取り組みの繰り返しに比べたら、はるかに早く着実にしかも本質的な成果をもたらします。長い震災復興の道のりを歩き始める今こそ、その原動力となるこのような市民の学びを、メディアテークとしても全力で支え続けていければと考えています。

(2011/12/01)



  • 音声読み上げソフトが入ったパソコンと点字を表示する点字ディスプレイ

  • 黒板になる「考えるテーブル」

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