全館再開のお知らせ

せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

62「施設か、機関か」

メディアテークは施設名ですが、同時にそれは機関名でもあります。機関としてのメディアテークは、施設としてのメディアテークの管理運営をおこなう存在ととらえられています。美術館や図書館などの公共文化施設の場合も同様で、そうしたとらえかたが公共施設の運営を民間事業者に託すための「指定管理者制度」の骨格をなしています。しかし本当にそうなのでしょうか?
市役所、県庁、政府、どれをとっても場所を表す言葉ですが、そこでは、その場所を運営することが仕事なのではなく、広く公のための仕事をしていることは言うまでもありません。施設も機関も、それが公的なものであれば、なんらかの公的な目的を達成するために存在しており、施設や機関そのものの存続が目的なのではありません。メディアテークも美術館も、そして市役所も県庁も、施設のために機関があるのでも、機関のために施設があるのでもない、という意味で同じなのです。
メディアテークの設置条例には、その設置目的が次のように記されています。「様々なメディアによる情報を収集し、保管し、及び提供して、市民の自主的な情報の検索、閲覧、記録、発信等の活動を支援するとともに、美術・映像文化の創造又は普及の場を提供し、もって市民の生涯学習の振興に資するため、メディアテークを設置する。」
あらためてこの設置目的をふまえて考えると、メディアテークという機関は、施設運用のためにのみ存在するのではなく、むしろ生涯学習振興のための専門機関のひとつとして、情報の受発信の支援、美術や映像文化の場の提供のありかたについて、より効果的で有意義な方法を研究、立案し、時にはメディアテークという施設の枠を越えて実施していくことが求められているととらえるのが自然です。施設としてのメディアテークは指定管理者制度により、(公益財団法人)仙台市民文化事業団が管理運営していますが、そのことをしっかりと受け止めた上でなお、機関としてのメディアテークは、その目的と理念にもとづく公的事業をおこなう、あくまでも主体的な存在であるべきだと考えています。

(2012/10/01)


  • 通常の施設機能が失われた時こそ、何をすべきかが問われる。2011年3月23日水曜日震災後の仮設事務所で
    通常の施設機能が失われた時こそ、何をすべきかが問われる。
    2011年3月23日(水)震災後の仮設事務所で

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