全館再開のお知らせ

せんだいメディアテーク



せんだいメディアテークをもっとよく知るためのさまざまな情報を、副館長の佐藤泰がお届けします。

63「当たるも、当たらぬも」

「当たるも八卦、当たらぬも八卦。」占いはあてにならないという意味で使われますが、その一方でこの言葉には、どこか占いを否定できない私たちの現実も言外に込められているように思います。知識や経験の蓄積によって、想定内といえる範囲が飛躍的に拡大した今日においても、宇宙や生命の成り立ちにはじまり、恋人の本心やふたりの未来に至るまで、私たちの身の回りは、あいかわらずわからないことだらけです。このたびの地震は、その事実を私たちにあらためてつきつけることになりましたが、それに立ち向かうためにも、私たちは未知への限りない探求を続けるしかありません。
科学は私たちに知識と技術をもたらすし、芸術は多様な世界観や感覚をもたらします。それは、多くの無名の人々が、それこそ「当たるも当たらぬも」わからない中で、地道に続ける未知への探求や、新しい着眼、あるいは能力の限界を超えようとする鍛錬を続ける中から、そのほんの一部が実を結んで生まれるものでもあります。それなりの成果がもたらされる確率はへたをすると占いがあたる確率よりもはるかに低い場合もあるかもしれませんが、それでも、私たちの未来をひらいていくためには、日々の生活を守ることと並んで欠かせない活動です。そうした努力の一端を、メディアテークとしても未知のテーマに果敢に取り組むアートの活動を支えていくことで担いたいと考えています。もとより結果を約束されない未知への挑戦である以上、昨今の経済状況からみれば後回しにされがちな活動ではありますが、だからこそいま、公共施設としてそれをどのように運営し、すこしでも大きな成果に結びつけていけるかが問われているのだと思います。

(2012/11/01)


  • 開館10周年事業「いま、バリアとはなにか」小山田徹と藤井光による6階ギャラリーでの展示風景
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  • 11月7日(水)からは「志賀理江子 螺旋海岸」が始まる
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