みつけましょう

I. みつけましょう

活字の説明

活字は上の絵のように身体の名称がついています。
人間の身体のようです。
昔はデザイナーがひとつひとつ活字を作りました。
先っぽに顔(タイプフェイス)がついていて、外国ではキャラクターともいいます。
ここが大切な部分です。ていねいに扱ってください。
大きさには規則があります。全部ここに持ってくるわけにはいきませんので、(ひらがなとカタカナの)わかりやすい文字だけを選びました。
日本語では3000種類も違う活字がありますので、その中から自分が使う字をえらんで文選箱に入れていきます。

文字のルールと文選

活版印刷とは、ひとつひとつの文字(活字=movable type)を自由に動かすことができるような仕組みを使った印刷のこと。 一般的には「文字を組む(compose)」ができることになった凸版の印刷方式を指します。 活版印刷が普及する前は木版のようにひとつの大きな版で印刷を行っていました。

活版印刷では活字の大きさがそのまま印刷文字の大きさになるため、文字の大きさはあらかじめ決められ、分類されています。 日本語(和文)の基準は10.5ポイント(5号)が基準となっています。活版では初号(約56ポイント)が一番大きな活字で、正方形の中に収まっています。 その正方形を分割することにより全てのものがきちんとユニット化されており、積み木のように組み合わせて版を作り上げていくことができます。 (コンピュータの文字のように半端な大きさをユーザーが作ることはできません。)

ユニットに合った活字を原稿の通り、使用する順番に箱に集める作業を活版では「文選(ぶんせん)」と呼びます。 日本では漢字・ひらがな・カタカナ、そしてアルファベットなど多様な文字を扱うため「馬(うま)」という大きな棚(メディアテークの地下にもあります。)にさまざまな大きさの文字が収納されており、必要に応じ、探して拾い集めます。なお、この工程は活字数が多い日本特有のものであり、主にアルファベットだけで文選をする場合は引き出しがひとつの単位となっているため、直接ステッキという道具に植字を行うため、馬と馬の間を歩き回る必要はありません。

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うえましょう

II. うえましょう

活字を組むことを「植字」といいます。シャレてますね。
田んぼに苗をうえるように規則正しく並べるからです。
展示見本を見てみましょう。すき間なく、ブロックのようにつまっているのがわかりますね。
アルファベットの場合はひとつひとつの文字が正方形ではありませんが、日本語の場合は文字を示す活字は、全て正方形です。
次に、方向をまちがえず自分が選んだ活字に交換しましょう。その時、小さい文字はピンセットを使いますが、ここでは指で、ていねいにつまんで差し替えてください。
すき間の活字は高さが足りません。それはなぜでしょう?

組版と解版

組版 - ひとつ、ひとつ、つなげて、重ねて。

文選のあとの組版の行程は何人かで分担するのが一版的でした。 分担した方が効率よく組みあげることができたからです。 文選箱から文字(活字)を取り出し、ステッキを使い、各種スペース(すきま)やパンクチュエーション(句読点)を組み込み、仕上りの状態に近づけます。 印刷されないところや印刷面にまで届かない部分にも「込め物」という高さが低いスペース(平らな面のブロックや薄い金属や木片のようなもの)を並べる必要があります。 組版を終えたあとは、印刷をするための位置決めを正確に行います。 ページものの場合はページを示す、数字(ノンブル)の位置が基準となります。

解版 - 印刷した後に。

印刷した後には解版という作業が待っています。版をばらばらにして、活字とスペース類は(大きさや書体など)別々に分け、活字は元の活字ケースに戻し、スペースは同じモノを揃えて戻します。 大量の印刷を行った組版は、戻す手間を省くため、すべての材料を分類し、そのままインゴット(金属の塊)の型に戻し、改めて活字の原材料とすることもありました。 (主成分の鉛は有害ですが、リサイクルされていました。) また、紙型というかたちでデータを保存をすることもありました。 強度のある紙で凹型を保存しておくのです。 百科事典のように大量のページの本などは、鉛活字の組版をすべて残すことができなかったためです。

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すりましょう

III. すりましょう

adana model M0120(8x5インチ)‐このイギリス生まれの印刷機は、手で動かします。
レバーを上下に動かすだけで印刷ができます。
この「アダナ」は、は同時にふたつの作業をおこなえるすぐれものです。
レバーが上にある時はローラーは下にあります。
同時に紙をセットしやすく、すき間が空いています。
レバーを下げていくと、ローラーは上に行き、それに従ってまずは活字全体の上を、そして円盤の上を転がり、インキをつけます。紙の面は次第にインキが付いた活字に近づき、一番下で力を少し加え、「ギュ」っと押された瞬間に印刷完了します。
ローラーは次の印刷の準備に入り、インキをローラーにつけていきます。慣れてくると、どんどん印刷ができるので不思議です。

adana model M0120

adana印刷機 (8x5inch)

アダナ、とはイギリス社製造の活版印刷機です。
版面の大きさにより3種類があり、これは一番大きな8x5インチのものです。
オプションとして枚数カウンターがついています。
現在はイギリスでもほとんど生産されていません。
この印刷機が日本に初めて輸入されたのは1963 (昭和38) 年で、その後800台ほど輸入されたようです。
簡便さから少部数の印刷に適しています。
※2003年開催「文字展@smt」資料解説より

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