PRESS! PRESS!! PRESS!!!

A. PRESS! PRESS!! PRESS!!!

イギリスでもスイスでも活版印刷はその独特の魅力(そして世界共通!)で多くの人々を虜(とりこ)にしています。ぜひ、みなさんも活版の奥の深い世界をたずねてみてください。
DVDに登場しているスイス・バーゼルの「パピエミューレ」という小さな博物館では昔の紙漉(かみす)き水車小屋を活版の工房にしています。印刷物に関連する歴史を体験するにはぴったりの場所のようですよ。
自分で漉いてつくった紙に活版で印刷もできます。
すべてを手作りしながら勉強できるって、すごいですね。
イギリスでは歴史的にもプライベート・プレス(私家版)の歴史は長く、工芸やデザインへ大きな影響を与えました。現在でも多くの私家版があり、デザイナーの教育にも重要な役割を果たしています。

プライベート・プレスの実際

‐アンソニー・フロシャウグさんの場合‐

イギリス生まれのadana(簡易型の活版印刷機)には多くの愛好家がいました。 中でもHfG ulm(ウルム造形大学)のタイポグラフィ教師であった英国人のAnthony Froshaug(1920-1984)は自宅で活版印刷を行い、実際のタイポグラフィの授業にも役立てていました。 彼が印刷したポストカードからは自作の書体が開発され、増えていった様子がうかがえます。

フロシャウグ氏のプライベート・プレス フロシャウグ氏自宅

PageTop

仙台と活版

B. 仙台と活版

ちょうど30年前の1978年(昭和53年)、仙台市は宮城県沖地震に見舞われました。 大きな地震であったため、印刷会社にある「馬」という活字を収納する棚は、なぎ倒されて活字をまき散らし、多くの活字が使い物にならなくなり、仙台とその周辺の活版印刷業に大きな被害を及ぼしました。 この地震をきっかけに活版印刷をあきらめ、新しい技術を導入する印刷会社も続出しました。 しかし、その後も活版印刷は青葉区一番町にあった「江川活字製造所」のように、活版印刷を近年まで続けたところもあります。 せんだいメディアテークにある活版印刷に必要な道具は、今日の印刷の現場では使われなくなったものです。 開館(2001年)当初から、せんだいメディアテークでは、これまで展示(「文字展@smt」2003年)やワークショップなどを通じて活版の活用を試みてきました。 多くの方が名刺やカードづくりなどで活版の楽しさや難しさを体験しています。 (ここに参加された方の作品の一部をご紹介します。)金属製の活字とはひと味違う温かい雰囲気をたたえている木活字は、外国ののみの市などでも人気のあるアイテムのひとつです。

江川活字製造所とは

「江川活字製造所」は、明治26年(1893)年、東京の「江川活字製造所」の仙台支店として営業を始め、昭和20(1945)年に濟谷川松榮さんがこれを引き継ぎ独立開業、仙台空襲と宮城県沖地震という大事件を経験し、活版印刷からオフセット印刷へという技術革新の流れの中、東北で最後の活字屋になるまでねばりづよく営業を続けましたが、時代の趨勢には逆らえず2003年3月をもって閉店となりました。

せんだいメディアテークと活版

2003年2月に開催された「文字展@smt」展示の様子 2003年2月に開催された「文字展@smt」展示の様子 文字展へのリンク

PageTop

日本では初めて!?

C. 日本では初めて!?

昭和40年(1965年)ころ発足したアマチュアプリンターズクラブ(JAPC)は、日本では初めて活字や印刷の楽しさや仕組み、美しさを探究した集まりでした。 海外の活字鋳造会社から直接輸入した品質の高い欧文活字を多数保有し、戦前から現在も続く活版印刷会社「嘉瑞工房」を中心に、原弘や北園克衛ら有名なデザイナーも多く参加した活動には、活字やタイポグラフィの知識を深めるねらいもあったようです。
それまでの活版印刷は、デザイナーではなく、工場ではたらく専門職人たちの手で行われていましたが、手軽に活版印刷のしくみを楽しめるadana印刷機を手に入れることで、活字を選び、組み、刷るといった全行程を、自らの手でできるようになりました。 イギリス生まれのadana印刷機は、このように、活版印刷の新しい楽しさに気づいた人々から支持され、今では世界中で愛される存在となっています。

世界中で愛され続ける活版の魅力

活版印刷の起源にはいろいろな説があります。 おおくは複製が必要になった紙の上の情報を効率よく、世の中に広めることを目的に近年まで進歩し続けてきました。 技術が磨かれることで、プライドを持つ職人仕事にまで高められた結果、タイポグラフィという分野が確立されました。 その職人の技を受け継いで発展してきた点も活版の特徴のひとつです。 とくに金属活字(おおくは鉛合金)を使用した時代が長く、その基である種字を鉄の棒の先に直接、彫る技(punch cut)はこの世界の最高峰の技術とされます。 しかしその時代はすでに終わり、活版は現在、趣味やアートの世界で特に注目され、愛される存在となっています。

活版印刷ワークショップの様子 活版印刷ワークショップの様子 活版印刷ワークショップの様子

PageTop