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せんだいメディアテーク
980-0821
仙台市青葉区春日町2-1
電話 022-713-3171
ファックス 022-713-4482
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囲炉裏端写真

昔からカメラやビデオが好きだった私は、旧視聴覚教材センターの「メディアボランティア養成講座」に参加しました。のちの「メディアボランティア仙台」の母体となるものです。メディアボランティア仙台は、消えつつある仙台の風景や事物を写真やビデオで記録し、コンピュータで編集、保存する活動をしています。現在の会員は52名です。

メディアボランティア仙台の活動のひとつに仙台弁の保存があります。メディアテーク準備室の時代に行われたワークショップ「杜の都の知恵袋(1)方言を集める、んだ」をきっかけに始まりました。現在、生粋の仙台弁の話し手は、80歳を超えた方しかいないという状況です。そうした方々と私たちとで、あるテーマで仙台弁トークセッションを繰り広げ、ビデオ撮影するというスタイルで記録しています。

撮影では普段私たちがあまり耳にしない言葉がたくさん飛びかいます。たとえば、「むんつん(ひねくれている)」と「いんぴん(片意地をはる)」。仙台弁ネイティブの方によると、どちらも「反対する」というベクトルの意味を持っていますが、「むんつん」には消極的、「いんぴん」には積極的なニュアンスあるのだそうです。でも意味がわからなくてもなんだ  か雰囲気はわかるような気がしますね。言葉の持つ音やリズム、豊穣なイメージがなによりおもしろい。

もし方言を書き言葉で記録するとしたら、独特な発音やニュアンスやリズムをすくい取ることができません。生きた表現として方言を保存するためには、仙台弁が話されている会話の文脈、場の雰囲気も重要です。その文脈に置かれることによって、はじめて方言の表現が成り立つのですから。私たちの記録によって、方言が話されていた当時を生き生きと思い起こしていただけるなら、うれしいですね。