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せんだいメディアテーク
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オンライン・オフライン問わず、みんなが共に愉しい場(コミュニティ)をつくることは容易ではありません。パーティのホスト役を経験すれば分かることですが、運営側であるホストには、場の雰囲気づくりや人選だけでなく、ゲスト同士のマッチングなど、細かい気苦労が伴うものです。まして、コミュニティの運用を継続的に行うなら、運営側の負荷は経済的・精神的に大きなものとなります。

私たちが開発したコミュニティ・エンジン「関心空間(http://www.kanshin.com/)」では“情報のつながり”の視覚化によってユーザー間のコミュニケーション機会を創出するだけでなく、コミュニティ自身の自律性を高め、運営コストの軽減を強く意識した設計となっています。

コミュニティをデザインするということは、コミュニティ運用側の主目的や運用の効率化だけでなく、コミュニティを構成する各員の自律性がとても重要です。「関心空間」の運用においてユーザーのモチベーションを高めたリンク機能やお知らせ小窓等の「コンタクト・コミュニケーション」は、社会学で言うところの「弱い紐帯(weak ties)」です。自分の趣味嗜好を通して、かつ自らの選択でコミュニケーションの相手や話題を選択することが出来る自由さや気軽さが、ユーザーのコミュニケーション欲求やコミュニティ貢献の自律性を促したように思われます。

現在、私たちは世界情勢やインターネット環境の複雑化にとにかく辟易しているのです。情報が多すぎて、社会へ関与する現実感に乏しいのです。そこで身近な関心事や人間関係を起点にした「弱い紐帯(つながり)」を通して、“自分だけの事”から“僕たち事(ぼくたちごと)”を共有するコミュニティを構築し、ひとと情報のつながりが信頼を伴って、徐々に拡張するコミュニティ形成に大きな魅力と可能性を感じています。それが“公”でも“私”でもない“共”の空間デザインではないかと感じているのです。