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せんだいメディアテーク
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映像体験ミュージアム

smtでの設営の仕事は、オープニングのダムタイプのインスタレーションと今回の映像体験ミュージアムと2回だけなのですが、まだ建設中のときにヘルメットをかぶって見学、その後展覧会場についての意見交換の場を設けてもらったり、関わりが深いように勝手に思っている場所です。 映像体験ミュージアムは東京都写真美術館からはじまり、僕自身この世界に入るきっかけになったのも、写真美術館が準備室だったころに行われたステラークのパフォーマンスが最初でした。そういう意味で2重に感慨ぶかいものがあります。この映像体験ミュージアムは映像というくくりで過去のフリップブックなどから現在の作家までを紹介する試みですが、過去の、基本的な紙、絵の具などの道具がコンピューターやプロジェクターなどの道具へと変わっているのが1フロアで眺められるいい展示になっていると思います。 巡回展なので、実際に作家に会って中の仕組みを教えてもらったりする部分はsmtではありませんが、巡回プランを作っていく中で、裏方の特権で根掘り葉掘り聞くと、非常によく考えられた仕組みで体験する人を驚かせよう、楽しませよう、考えさせよう、というものになっています。ゾートロープなどを考案した方たちも同じような細かなシステムの調整、計画に、作家自身の興奮と、体験者の興奮、楽しみを同時に感じながら制作していったのだろうと自然に感じます。時代とか人はそれぞれ変わっても「体験」、という部分はまったく変化がなく、今回の展覧会のようにキュレーターや作家、また僕や一緒にお仕事をした造作、展示、運送のさまざまな方々と同じような役割の人が、数百年前にも同じように体験してもらうために関わり、自分自身の体験として同じように興奮を感じていたのでは、と思います。 もう200年ぐらいするとそのときの作家が僕のような裏方と一緒に200年前の作品を展示しながら、こんな原始的な技術でうまいこと考えてあるなあ、と興奮したりするんでしょうね。