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はじめに

前年度に実施した館内フロアレイアウトの一部変更にともない、7階スタジオは「創造の場づくり」を掲げて大幅な機能拡充を行いましたが、2008年度はその環境下での実質的な初年度としてたくさんの新事業を立ち上げました。まずはスタジオでの情報発信のモデルづくりとして、携帯電話で閲覧可能な地域映像アーカイブ「まちかどタイムトラベル」や事業に関する批評的機関誌「ミルフイユ」の創刊、さらにスタジオ活動の情報公開やメディアテーク事業記録の体制強化に注力しました。また参加型情報発信ワークショップとしての「スタジオ・ラボ」、入門的な技術支援のための「スタジオ・トライアル」など、スタジオ活動の支援体制の整備にも取り組んだほか、さまざまな活動の出会いや情報交換のための「スタジオ・レクチャー」、「5番チューブカフェ」、さらに階段利用による各フロア連携強化をめざす「5番チューブ再開発計画」、活版印刷のある地下1階で古いメディアを体験する「メディアカプセル」など、新しい事業形態のシリーズ化にも取り組みました。

オープンスクエアでの「どんどこ!巨大紙相撲」は、メディアテークでのノウハウをもとにその後市内各団体に広がりを見せ、学会との共催による「カルチュラル・タイフーン」では5番チューブを巻き込んだ形での全館イベントにも挑戦するなど、外部との連携にも新しいスタイルが誕生しました。

企画展覧会としては、パリ、ニューヨーク、東京、上海という大都市を切り口に写真表現を展望した「写★新世界」、取り壊される民家を素材に、存在と不在、意味と無意味、生と死など、矛盾しつつ共存する世界観を示した「高嶺格 大きな休息」展を実施しいずれも大きな注目を集めました。また年々大型化を続けてきた「卒業設計日本一決定戦」は、事業全体が館内に収まらなくなりついに他会場を審査のため確保することになりました。上映事業としては、新事業立ち上げのため、バリアフリー上映を除いて上映事業全体は若干ペースダウンしましたが、全国コミュニティシネマ会議の開催を通じて、メディアテークでの映像事業の重要性があらためて再確認されました。

2008年度、ギャラリーやオープンスクエアの高い利用率や安定したライブラリー事業にも支えられ、また多くのかたがたの理解とご協力をいただきながら、メディアテークは新しい段階に一歩足を踏み出したと言えるでしょう。この年報をつうじて、メディアテークの多面的な事業を全体としてご理解いただき、生涯学習の振興及び文化活動の支援に関心を寄せておられる多くのかたがたからご意見・ご指導をいただければ幸いです。