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せんだいメディアテーク
980-0821
仙台市青葉区春日町2-1
電話 022-713-3171
ファックス 022-713-4482
office@smt.city.sendai.jp
http://www.smt.jp/

 

一緒に育つ場所写真

私たちはせんだいメディアテーク準備室の時代から建築自体の取材を続けていたが、今回、実際に市民に利用されている姿を初めて見た。なにより驚いたのは、利用者が建築家に気兼ねすることなく、従うことなく、対決することなく、うまく建物を「植民地化」しているということだ。さえぎるものがない、壁がないことが、空間の機能的・効用的な側面を強制しない印象がある。さらに建物内部の動線が自由というか、そもそも無い。用事以外のことを許してくれる空間。だから人々はここで公園みたいにぶらぶらしたり、寝転んだり、思い思いのスタイルでたたずんでいたりするのだろう。smtを設計したのは伊東豊雄氏であるが、公に開かれた施設としてのsmtの空間を作ったのは、この建築と利用者との共同作業によるものだろうと思う。

その反面、利用する側にsmtに対する敬意の念が足りないのでは?と感じる点もある。それは床や椅子、トイレの汚れ様、壊れ様を見るにつけ、である。smtが自分たちをひきつける存在であって欲しいと思うのなら、もっと大事に使うべきではないか。それは利用する側と運営する側、どちらかが一方的に押しつけるものではなく、それぞれの心に自然と発生するものであって欲しい。もしかしたら利用する側、運営する側がsmtによって一緒に育てられる場所かもしれない。