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せんだいメディアテーク
980-0821
仙台市青葉区春日町2-1
電話 022-713-3171
ファックス 022-713-4482
office@smt.city.sendai.jp
http://www.smt.jp/

 

一緒に育つ場所写真

私は昨年からせんだいメディアテークの地下一階にある準備室で、カッパン研究会の製版技能者として参加しています。といっても研究会は全員ボランティアで、活版に興味ある方々に、活字の組み方や印刷機の仕組みを教え、実際に活版印刷を体験していただいています。私は、まさか活版印刷がこんなパソコン全盛時代に、しかもその一番の最先端基地と思っていたメディアテークの中で教えるようになるとは思ってもみませんでした。

現役時代は数学の教科書などに載っている計算式や記号式など、複雑な活字を主に組んでいました。でも現在ここで一番多く刷るのは名刺ですね。名刺専門ではないにしても現役の頃の腕はまだまだ健在ですよ。特に最近集まってくれた方々に教えていて思うのは、基礎を一応教えてみるんですが、皆さんパソコンなどでいろんなレイアウトの作り方を知っておられるので、結構自由に活字を組まれます。中には自分勝手に組まれたりも。名刺の名前の並びは「字取り」といって5字取り、7字、9字…という様に基本的な組み方が決まっています。これは私の現役の頃よりもずっと前の時代から活版の世界で「美しい並び方」と考えられていた決めごとです。だから伝統的な活版の仕組みを良く理解した上で、そこから独創的な印刷物を刷って欲しいと思っています。

この活動は私にとって、仕事ではなくボランティア的な関わりです。他にも泉病院で介護のボランティアにも携わっています。その時も感じたのが、いろんな患者さんがいるなあということでした。学校の先生は患者さんではあっても先生だし、社長さんは病院でも社長さんです。そういった個性のある患者さんが快く治療に専念できるようにサポートするのですが、その時活版を組むのは非常に良いボケ防止になると思いました。それは行間やスペースを考えながら、細かな活字を指先で拾い、考えながら組んでいく、またかなりな時間立ちっぱなしで考えている、これは脳の活性化にも非常に良いそうです。これからは、若い人たちばかりでなく、ご高齢の方でも、ご病気された方なんかでも一度メディアテーク地下にあるこの活版研究室に見学に来ていただきたいですね。