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せんだいメディアテーク
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一緒に育つ場所写真

アニメ映画の宮崎駿さんが言ってました。日本の子どもたちを生き生きとさせるためには、保育園や学校の校庭をデコボコにすれといい、と。なるほど、校庭だけではなく、ぼくたちの生きる時間や空間はいつの間にか、いたるところでまっ平らにされてきたようです。

デコボコがなぜ忌避されるのか、といえばそれは恐らく「非効率」だから。社会を等質化し、均一化する力が、かつての日本経済の高度成長を支えたと思われます。社会の構成員ひとりひとりの違いを認め、子どもたちのひとりひとりの個性を尊重しながら育てるなんて、確かに経済の観点から見れば非効率で、「不経済」なんでしょう。

同様に「動くこと」が過度に強調される現代社会で、人々は「留まる」とか「待つ」ということがますます不得手になっていくようです。

そもそも「共に生きる」ことは効率的ではありません。関係性にはそれにともなう面倒臭さや、遅さというものがある。現代人の人間関係を見ると、確かに関係に伴う非効率への忍耐力や寛容性が急速に失われていくようです。

ファスト・フードとは、そうした面倒なつながりを排除するところに成り立つもの。食という文化の根幹に、効率性の原理を貫こうとする。これに対してあえて、つながりとしての食を見直したいと考えるのがスロー・フードです。今、自分の前にある食べもの、それはいわばつながりのかたまり。人からなるコミュニティの、また生態系というコミュニティの、いのちの連鎖がそこに凝縮している。

せめて食事の時にはテレビを消して、食卓を囲みましょう。ついでに電気を消してロウソクでも灯したらもっといい。「輪になる」ことや「火を囲む」こともまた、文化本来の基本的なテーマだったはず。

コンセントを抜く。アンプラギングは、禁欲や孤立を意味しません。それは、これまで「効率」の名のもとに切り捨ててきた人と人との、人と自然との関係の修復であり、取り戻し。そこにこそ本当の豊かさと快楽はあふれているはずです。

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ぼくは今「100万人のキャンドルナイト」を呼びかけています。今年6月22日の夏至の夜8時から10時まで、あなたも電気を消して、スローな夜を楽しんでみませんか。(http://www.candle-night.org