2003/11/19 16:37:14
投稿:謂われの概要、v11/10, 16.35 (送信者:三輪眞弘)
その昔、宮城県北部から岩手県一関市周辺地域で行われていたと伝えられる奇習
「ヂヤイ神楽」の存在とその驚くべき全容が近年の様々な研究によって解明されつつ
ある。そのきっかけとなったのは北陸地震で倒壊した三ノ輪神社の床下から発見さ
れた奇妙な三枚の算額だった。一見祭式の次第を定めた昔ながらの覚え書きに見え
るそれにはしかし、高度な数学的法則を用いた動きと音楽を生み出す不思議な手法
(アルゴリズム)が詳細に描かれていたのである。それは、ジャンケンにも似た三つの
状態の組み合わせによる単純な規則によって極めて複雑な振る舞いを生み出す「蛇居
拳算(じゃいけんざん)」と名付けられた算法で、幾何学問題に代表される、算額が扱う
様々な問答の慣習とは別次元の、当時としては世界的にも例をみない極めて特異な
ものと言えるだろう。その発祥の背景には、東北地方を代表する和算の大家、千葉胤
秀や、若くしてその力量を認められながら非業の死を遂げた伝説の天才、鷹嘴侍相之
介が深く関係していると見られている。それにしてもこの時代に、現代数学を先取り
するかのような、乱数生成アルゴリズムに似た理論が、突如この東北地方にどのよう
にして生まれ得たのかは現在でもまったく謎のままである。