予告 2026年10月01日更新

【お知らせ】10月23日(土) 第100回てつがくカフェ 「震災後の風景から「美しさ」を考える」


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次回てつがくカフェのお知らせです。

テーマ:震災後の風景から「美しさ」を考える

 「日本で最も美しい村」とも呼ばれた飯舘村は、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散によって汚染され、全村避難を経験しました。原発事故以前、四季折々の営みは村の至る所でなされ、季節とともに変わる時間の流れがあったように思います。日が暮れれば村は漆黒に閉ざされるという訳ではなく、山を照らす月明かりは電灯よりも柔らかい。いつの日だったか飯舘村で、星のちりばめられた夜空を眺めていたとき、思いがけずため息が漏れてしまったことを覚えています。美しい景色に心を動かされたとき、言葉すらでないのかと思わされた、私自身の経験です。

 一方で、震災と原発事故後も流れていく歳月とともに、変わりゆく風景を「美しい」と感じることは、私にはできませんでした。道路は広がり、真新しい家屋が並び、町並みは随分と「きれい」ではあります。海岸線に伸びる巨大な防潮堤は、海と陸とを「きれい」に隔てるかのようです。急ぎ足で変わっていく町並みを眺めて、「きれいすぎる」と呟きたい思いをぐっと飲み込んだ経験がある方もいるかもしれません。

 整えられた町並みや、強大な防潮堤が南北に連なる風景が日常と化し、かつての風景を想起することが難しくなったと感じている方々もおられることでしょう。震災前は白砂青松とうたわれた海岸線の「美しさ」を伝えることのみならず、白砂青松の「美しさ」を想像することそのものが、困難な営みなのでしょうか。

 変わりゆく風景は、「美しさ」とはそもそも何なのかと、私たちに問いかけるかのようです。一人一人の固有の感性に裏付けられた「美しさ」を誰かに伝えたり、他者が感じた「美しさ」に共感を覚えたりすることは、実は非常に難しいことなのかもしれません。しかし、困難であるからこそ、「美しさ」について生身の身体から発せられる言葉を通して考え、これを哲学的に問い返すことは、震災と原発事故によって変化し続けている社会について考えることとも接続していくはずです。おそらく、「美しい」と口にすることは日常的には多くはないでしょう。だからこそ、改めてみなさんとの対話を通して、震災後の風景から「美しさ」を考えることができればと思っています。



第100回 てつがくカフェ

■ 日時:2026年10月24日(土)14:00−16:30

■ 会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa

■ 参加無料、申込不要、直接会場へ

 




てつがくカフェとは?・・
てつがくカフェは、わたしたちが通常当たり前だと思っている事柄からいったん身を引き離し、「そもそもそれって何なのか」といった問いを投げかけ、ゆっくりお茶を飲みながら「対話」をとおして自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験していただこうとするものです。



主催:てつがくカフェ@せんだい/せんだいメディアテーク
問合せ:cafe-philo-s@googlegroups.com