2023
03 02
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仙台市民図書館開館
イベント 2024年09月03日更新
地域とアヴァンギャルドー戦後前衛芸術の聖地/仙台市太白区太子堂
仙台を拠点に活動した糸井貫二(1920-2021)は、1950年代から読売アンデパンダン展や各地のハプニング・イヴェント、ストリートで前衛表現を展開しました。当時から"ダダカン"の名で知られ、戦後日本を代表するアーティストのひとりとして、近年国際的にもその評価が高まっています。
糸井自身が「鬼放舎(きほうしゃ)」と名付けた太白区太子堂の居宅は、晩年まで生活の営みと日々の創作を続けた場所でした。糸井は往還するメール・アート*によって世界とつながり、鬼放舎には彼を敬愛するさまざまな著名人が訪れました。鬼放舎は、糸井の表現活動の現場であるだけでなく、分野をこえてクリエイティブな人びとを集める磁場として機能した"アヴァンギャルドの聖地"だったといえるでしょう。
糸井のアイコンともなった路上ハプニング「殺すな」は、鬼放舎の脇を通る現在の市道郡山折立線で写真家の羽永光利によって1970年に撮影されたものです。今は様相を変えましたが、この写真の背景に写る太子堂三丁目と長町南二丁目付近の家並みを覚えている住民も少なくないでしょう。
2024年6月、道路拡張による鬼放舎の取り壊しを前に、建物と遺品類の調査を行なったところ、遺された資料には、糸井の創作メモのみならず、太子堂地区振興会初代会長であった父・辰八郎が遺した地域社会の動きを伝える書類や写真が発見されました。
本展では、前衛芸術と市民生活の交点に着目しつつ、糸井がその人生の大半を過ごした地域の歴史の一端を、その居宅に関わる写真や資料をとおして紹介いたします。
*メール・アート......作品自体やそれに類するものを郵便物として送るという芸術表現の手法。さらには発送する行為そのものが芸術表現であり、世界規模の運動でもある。
① 展示解説ツアー
10月20日(日)14:00―15:30 展示会場にて
② トークイベント「太子堂と糸井家の記憶」
12月1日(日)14:00―15:30 7階スタジオbにて
ゲスト:天野清子さん(糸井貫二の妹/元東北放送アナウンサー)
聞き手:ダダカン連
③ トークイベント「糸井貫二資料調査進捗報告会」
1月19日(日)14:00―15:30 7階スタジオbにて
三上満良(元宮城県美術館副館長/ダダカン連)
細谷修平(和光大学客員研究員/ダダカン連)
写真:糸井貫二/路上パフォーマンス「殺すな」1970年9月20日、仙台市太子堂の自宅付近にて
(写真=羽永光利、提供=羽永光利プロジェクト実行委員会[羽永太朗、青山目黒、ぎゃらり壺中天])
来訪者が署名をのこした糸井宅の壁
1920年東京生まれ。1951年に銀座フォルムで初個展を開催。同年の第3回読売アンデパンダン展に《たまご》を出品し、第10回以降は毎回出品を続けた(ただし14回展は作品が撤去される)。1960年代に入ってからは、造形作品だけでなく、行為としての芸術「ハプニング」を各地の前衛芸術家たちと展開し、その名を"ダダカン"として知られるようになる。1980年代以降は自宅「鬼放舎」を拠点に表現活動を続けた。2021年12月19日没。
糸井貫二(ダダカン)の作品、資料の整理・保存・活用に取り組む有志集団。メンバーは細谷修平・三上満良・関本欣哉・中西レモン。展示として2021年に「ナラティブの修復」展(せんだいメディアテーク)、2022-23年に「糸井貫二木版画展」(仙台/東京)、書籍編集として『糸井貫二木版画集』(戦後芸術資料保存、2023年)がある。
主催:ダダカン連/せんだいメディアテーク
助成:一般財団法人 地域創造
協力:一般社団法人 戦後芸術資料保存/JSPS科研費JP 24K00037「日本戦後芸術のアーカイブ構築と学術的方法論の研究:三つのケーススタディをもとに」(研究代表者:橘川英規)
<お問い合わせ>
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