報告 2019年12月23日更新

【報告】バリアフリー上映「パンドラの匣」


12月1日(日)にバリアフリー上映「パンドラの匣」を開催しました。その様子をレポートします。

バリアフリー上映は、誰でも気軽に映画を楽しめるよう、目や耳の不自由な方のための音声解説日本語字幕と、小さなお子さんがいる方のための託児サービスのある上映会です。
2001年のメディアテーク開館から毎年開催しています。

上映会を始めた当時は、音声解説・日本語字幕のある作品はごくわずかでした。現在は法整備も進み、徐々に音声解説・日本語字幕のある作品数も増えていますが、数ある作品の中でバリアフリー対応作品の数は決して多くはありません。
メディアテークでは、まだバリアフリー化されていない作品に音声解説・日本語字幕を制作して上映会を行っています。音声解説と日本語字幕は、メディアテークの養成講座を修了し、活動するボランティアメンバーが制作しています。

今回上映した作品は、2009年公開の「パンドラの匣(はこ)」。
原作は、今年生誕110周年を迎えた作家・太宰治の同名小説です。小説は、終戦直後の1945年10月から翌年1月にかけて『河北新報』に連載されました。仙台ゆかりの作品として、原作を知っている方も多いのではないでしょうか。
太宰文学には珍しい肯定的な小説で、当時の暗い世相を反映した紙面に明るい日差しを与えたと言わています。

P1110119.JPG映画化は、2009年の太宰生誕100周年を記念して行われました。監督を務めたのは、2006年『パビリオン山椒魚』で長編映画デビューし、2011年以降「仙台短篇映画祭」にも作品を出品している冨永昌敬監督です。脚本も手掛けた冨永監督により、小説を現代の感性で鋭く解釈した青春映画として蘇りました。
撮影は、小説が描かれた当時のような風景が残っているとして、宮城県南三陸町、東松島市、登米市などすべて宮城県で行われました。
仙台ゆかりの太宰の作品、そしてオール宮城ロケ作品、いかがだったでしょうか?

P1110127.JPGP1110139.JPGP1110137.JPGP1110152_2.jpg▲会場入り口で流している映像は、音声解説・日本語字幕制作ボランティアの活動の様子を記録した「誰もが映画を楽しむためのプロセス-バリアフリー上映への道のり」(監督:我妻和樹/2012年)です。2階の「映像・音響ライブラリー」でも貸出をしていますので、ボランティア活動に興味のある方はぜひご覧ください。

今回の上映に付く音声解説と日本語字幕も、メディアテークで活動するボランティアメンバーが制作しました。今年度の養成講座を受講した新メンバーにとっては、初めての制作となりました。

P1110149.JPG午前・午後の2回上映を行い、合計130名の方にご来場いただきました。ありがとうございました。
アンケートの中には、「バリアフリー上映について初めて知った」という感想もありました。今後も、誰もが映画を楽しめるような活動がますます広がると嬉しいです。

次回のバリアフリー上映は、2020年6月開催予定です。詳細は、5月ごろお知らせします。次回もどうぞお楽しみに!
また、来年度も一緒にバリアフリー上映をつくる音声解説・日本語字幕制作ボランティアメンバーを募集いたします。養成講座は、2020年5月から受講者の募集開始、6月開講予定です。映画が好きな方、バリアフリー上映に興味のある方、グループでものづくりをするのが好きな方...たくさんの.ご応募お待ちしております!

(担当:高橋)


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