2014年11月03日更新

上映作品紹介


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12月19日上映作品

『ASAHIZA 人間は、どこへ行く』

(藤井光/2013年/日本_福島/74分/Blu-ray)

1923年に福島県南相馬市に開設され、約70年に渡り地域の文化拠点として親しまれた映画館「朝日座」。その「朝日座」にまつわる地域の人々の記憶を導きだしながら、過疎と震災に見舞われた町の姿と歴史を見つめるとともに、劇場の社会的な役割を問いかける。



12月20日上映作品

『なみのおと』

(酒井耕・濱口竜介/2011年/日本_気仙沼、南三陸、石巻、東松島、新地/142分/Blu-ray)

東日本大震災で津波の甚大な被害を受けた東北地方三陸沿岸部に暮らす姉妹、消防団員仲間、市議会議員、夫婦などが、身近な者同士で、あるいは酒井・濱口両監督と、互いに向き合いながら震災について語り合う様子を記録したドキュメンタリー。対話を通して、それぞれの被災体験の生々しさと悲痛さが切実な声で語られる。


『飯舘村 わたしの記録』

(長谷川健一・細谷修平/2013年/日本_飯舘村/68分/Blu-ray)

福島県飯舘村で酪農を営んできた長谷川健一が、東日本大震災による原発事故後、ホームビデオを手に取り撮影した全村避難となるまでの4ヵ月間の記録。飼育している牛から搾った大量の牛乳を自ら捨てる様子や、鳴り続けるガイガーカウンターの音。故郷に身を置き、当事者として、切々と変わりゆく風景と日常を見つめる。


『村に住む人々』

(岩崎孝正/2014年/日本_福島/48分/Blu-ray)

東京で震災に遭遇し、故郷の福島県相馬市磯部に戻った作者が、家族や安否確認で出会う友人に震災からのことについて問いかける。友人たちは避難所運営などに携わり、僧侶の父は法要を執り行い続けた。そして3年、地元の先輩後輩らにより立ち上げられた伝統の神楽が家々を奉納して回る。地域の営みを見つめた記録。


『夜の女たち』

(溝口健二/1948年/日本/73分/35mmフィルム)

「パンパン(売春婦)」たちの物語が、戦後の荒漠とした町並みにおけるロケーション撮影と、セットとして作られた瓦礫の奇妙なマッチングのもと展開される。小津安二郎『風の中の雌鳥』とともに日本のネオ・レアリズモと呼んでいいだろう。たった1ショットで女が「夜の女」へと変貌する様に、溝口健二の真骨頂を見る。(濱口)


『ポンヌフの恋人』

(レオス・カラックス/1991年/フランス/125分/35mmフィルム)

主演ドニ・ラヴァンの役名から「アレックス三部作」に数えられる1本。演技の本質は話すことでも動くことでもなく「別の名を与えられること」に存する。監督カラックスの別人格とも言える「アレックス」はしかし、ラヴァンともカラックスとも違う地点に誕生する。そこをひとまずフィクションと呼ぶことができるだろう。(濱口)



12月21日上映作品

『なみのこえ 気仙沼』、『なみのこえ 新地町』

(酒井耕・濱口竜介/2013年/日本_気仙沼、新地/109分、103分/Blu-ray)

『なみのおと』の続編。震災から約1年後、「聞く相手を被災の過酷さや体験談の鮮烈さで選ばない」ことを踏まえ、宮城県気仙沼市と福島県新地町に暮らす人々に語り手を絞って撮影された。対話では、被災体験のほかにも生活や生業、家族や友人との関わりなどについて語られ、それらの言葉からは個々の人生が滲み出る。


『夏時間の庭』

(オリヴィエ・アサイヤス/2000年/フランス/102分/DVD)

オルセー美術館20周年を機に制作された本作は「本物」の絵画や調度品を扱う「寄贈」を巡る物語だ。モノの移動を描くことで必然的に役者から動きを引き出す。その点では成瀬巳喜男的であるが、流麗な撮影はジャン・ルノワールを想起させる。エリック・ゴーティエの撮影技術が自由な演技と拮抗し、説話の現在形を更新する。(濱口)


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