報告 2014年05月24日更新

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第13回レポート


【開催概要】
日時:2014 年 5 月 24 日(土)17:00-19:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2014/05/3-1112-2.html


* * *





写真1re

○今回の読書会では、前回みなさんに紹介して頂いた本のなかから投票で選んで決めた小熊英二著『社会を変えるには』(講談社現代新書)を読み解きました。

(以下、『社会を変えるには』と表記)

○そのうえで最後には、前回みなさんに紹介して頂いた本に加え、今回新たに紹介された本と今回の課題本の中から、次回以降の課題本を決めました。

○次回の課題本は今回に引き続き『社会を変えるには』です。少なくとも2カ月かけて読むことも決定しました。ですので、6月と7月も、この本を課題本として読書会を進めていきます。

○また、今回から、以下の段階をはっきり分けて読書会を進めていきます。

(1)著者の主張の整理

(2)著者の主張に対する参加者それぞれの意見や疑問、問いを挙げる

(3)課題本への深まった理解を前提にした「てつがく」的な対話

*読書会の進め方に関する詳細は6月以降の読書会のチラシをご覧ください。


当日の読書会の様子をご紹介します。

今回は、以前のルールのとおり1回で課題本を選び直すことが前提としてあったので、上記3つのステップを開催時間である2時間以内にやりとおさなければならないという強行スケジュールでした。

そのこともあり、一人ひとりの発言時間が短くなり、また私(綿引)の説明不足で、必ずしも上記3つのステップをひとつずつ、丁寧に進めていくことはできませんでした。著者の主張を確認したすぐ後にそれに対する意見が述べられ、参加者同士で理解を深めて行く段階に至る前に対話が進んだり、そうかと思えば著者が文中で用いる「代表」の概念について、「誰に代表されるのか/誰が代表するのか」というような根本的な問いが投げかけられたりしました。

写真2re

以上を踏まえ、今回のレポートでは、会場の黒板にリストアップすることで、共有・整理できた著者の主張に関してだけ報告させて頂きます。

とくにこの読書会で主題とするのは、『社会を変えるには』の第5章と第6章でしたので、参加者の方々には、その内容について「そこで著者は結局どういうことを言っているのか?」という問いに答えるかたちで、次のように要約してもらいました。

【第5章で著者は結局どういうことを言っているのか】

○近代民主主義の限界を、歴史的変遷を踏まえて提示している。

・科学技術の発達が権力構造を変えた。

○「代表されていない」実感が増加。

・「わたし」と「われわれ」の変化。

【第6章で著者は結局どういうことを言っているのか】

・現代思想を参照し、熟議にまだ可能性がある根拠立てをしている。

・治療するより予防したほうが安上がり。

・「わたし」と「あなた」の関係は変わっていく。

・絶対的なものがなくなる⇒関係をつくるには。


次回からは、複数の月に渡ってステップごとにまるまる2時間かけられるので、今回より丁寧に進められるはずです。共有され、整理される内容も増えていくでしょう。

最後になりましたが、読書会当日に参加者の方々から新たに紹介された本は以下のとおりです。

・ 永幡嘉之著『巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災』 (講談社ブルーバックス)

・小川眞著『キノコの教え』(岩波新書)

・エミリー・マッチャー著、森嶋マリ訳『ハウスワイフ2.0』(文藝春秋)

・ニコラ・デイビス著、ローラ・カーリン絵、さくまゆみこ訳『やくそく』(BL出版)

・中島岳志(×星野智幸、大澤信亮、重松清、開沼博)著

『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ』(金曜日)


報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)

写真3-2






*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=8724#report


x facebook Youtube