報告 2015年02月22日更新

〈3.11以降〉読書会-震災を読み解くために-第21回レポート


【開催概要】
日時:2015 年 2 月 22 日(日)17:00-19:00
会場:せんだいメディアテーク 7f 会議室
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2015/02/3-11--21.html


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写真1

今回の読書会は木村友祐著『聖地Cs』(新潮社)を課題本とした読書会の三回目でした。一回目は物語を詳細に把握することを目標に、物語のプロットや登場人物の特徴について話し、二回目はそこからさらに、参加者の各々が個人的に、この物語や登場人物たちについてどう思うかを話してきたところです。

今回は、課題本を読んだ感想について意見を交わした後で、前回と同様、登場人物に関する個々人の"印象"を参加者の方々に語ってもらいました。そして最後には次回の対話につながるような「問い」を練り上げていきました。

写真2

今回新しく出たのは、「この著書は、独自の世界を作り続けている」といった感想や、「登場人物全員が主人公のようなものだから、物語の語り手である女性を"主人公"と呼ぶのは不適切ではないか」といった感想でした。

前回は語り手の女性、「広美」という登場人物が話題になりましたが、今回は被曝した牛を育て続けている「仙道さん」について、参加者各々の印象を述べていきました。仙道さんに対しては、例えば「自己満足で牧場を経営しているフシがある」とか「過去の幻影にすがって生きている」といったネガティブな印象を抱いた方もいました。

とくに、常日頃は牛を出荷している(ある意味で「殺している」)にもかかわらず、被曝によって殺処分が命じられたら、今度は牛を生かそうとすることが理解できないという方が何人かいました。 そこから次の問いが出てきました。仙道さんが牛を生かし続けるのは、商品としての価値に還元できない牛の「尊厳」を守るためなのか? しかしそのことは、それまでは商業用に牛を殺し続けていたことと矛盾しないのだろうか?

写真3

次回の読書会はこの問いについて考えるところから始め、さらにこの問いだけに縛られない、自由な対話をしていく予定です。課題本からは離れ、上に挙げた問いやそのほかの当日出た問いを主題として、てつがくカフェ読書会を行いたいと思います。

写真4

21回3.11板書②.jpg

報告:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)




*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=11552#report


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