報告 2016年02月28日更新

第49回てつがくカフェ「映像作品『波のした、土のうえ』から考える」レポート


【開催概要】
日時:2016 年 2 月 28 日(日)15:00-17:30
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:西村高宏(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2016/02/post-55.html


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今回のてつがくカフェでは、小森はるかさんと瀬尾夏美さんの映像作品『波のした、土のうえ』を鑑賞した後に、それぞれが感じたこと、考えたこと、疑問に思ったことなどを語りあいました。

「お花畑」と「記憶」。対話のなかでよく現れたのが、この二つの言葉です。
作品には、津波に洗い流された土地で「お花畑」をつくる人々の様子が映し出されています。人々は、そこが次第に整えられ、ゆくゆく嵩上げ工事のために土に埋もれてしまうことを理解しつつも、花を植え育てていきます。この場面から、「お花畑」に表れる意味が問われはじめます。

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花を育てることをとおして、自分自身の時間を誰かに差し出すこと。誰かとともに、差し出しあった時間を共有すること。その時間は、「お花畑」という場所や風景と結びつけられているのではないか。映し出されていた土地には、確かにあったはずの人々の記憶や暮らしの痕跡があるのではないか。そんなことが語られました。

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中盤は、語られた言葉のなかから、キーワードを探していく時間です。

○手をかける
○風景・時間・場所
○生(過去をふりかえっての)
○履歴
○死に化粧(お別れの作法)
○共有(記憶の違いを共有)

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そして、あげられたキーワードを吟味した後に、「お花畑」の意味を深めていきました。最後は、共同作業で、次の「...」のなかに入る言葉を考えていきます。

◎お花畑とは...
◎お花畑をつくるとは...

・地域そのもののお葬式である
・営みを共有する場である
・土の上で営みを共有する時間である
*ここでの「営み」は、「失ったものを確認する」という意味。

〈失われたものを確認する作業〉や〈弔いの作法〉が、「お花畑」には込められているのかもしれない。私自身は、そんなことを考えていました。

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報告:辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)





*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=12645#report


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