グランドチャンピオン上映会 2020年02月15日更新

1950年代も2020年代も●●の価値観は変わらない?シネバトルグランドチャンピオン上映会とトークサロン


2020年2月11日に開催されたシネバトルグランドチャンピオン上映会とトークサロンの様子をレポートします。

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シネバトルグランドチャンピオン上映会
「ブルックリン(監督:ジョン・クローリー/2015年)」

2020年2月11日(火・祝) 
開演 14:00(開場は30分前) 
会場 せんだいメディアテーク 7階スタジオシアター
入場無料

舞台は1950年代のアイルランドとアメリカ。ひとりの女性の生きる様を通じて、当時の社会風俗を丁寧に描いたドラマです。見事2019年度グランドチャンピオンに輝いた三宮邦子さんは、作品をこんなふうに紹介してくださいました。

1950年代。ふたつの故郷、ふたつの愛から人生の決断をして、幸せな未来へ。

アイルランドの家族(母と姉)と離れ、新天地ブルックリンで働き始める主人公が、洗練され自信を身に付けて恋しい人にも巡り合えて行く中で、アイルランドの姉の死の知らせが。

急きょアイルランドに帰った彼女に、母も認める素敵な出会いが待っていました。故郷、家族、愛、人生の大切なもの、あなたが選ぶ未来は?と問いかけてくる映画です。
2019年シネバトルグランドチャンピオン 三宮邦子

上映当日は85名のお客様をお迎えしました。そのストーリーのせいか、お客様はどちらかというと女性が多かったようです。三宮チャンピオンの挨拶にもみなさん熱心に耳を傾けていました。

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さてシネバトル各回のレポートをこのブログで熱心にお読みいただいている方の中には、「三宮さんがイチ押し作品にしていたのは、違う作品じゃなかったっけ??」と不思議に思われる方もいるかもしれません。左様、2019年4月のVol.25でも12月のグランドチャンピオン大会でも、三宮さんがイチ押し作品としてプレゼンしていたのは「暗い日曜日/監督:ロルフ・シューベル/1999年」という作品。しかし無情にも国内配給が見つからず...。当日来場されたお客様には詳細に経緯をご説明しましたが、三宮チャンピオンには他にも3本の候補作を挙げていただき、二転三転を経てようやく「ブルックリン」の配給元を見つけることができたのでした。せっかくのイチ押し作品を上映できなかったのは残念ですが、その他に挙げていただいた作品も見応えある濃厚な人間ドラマで、三宮チャンピオンのブレない作品選定力を垣間見る思いではありました。

そして終映後は恒例のトークサロンです。

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前述のとおり「ブルックリン」は50年代の社会風俗を丹念に描いており、若者にとって旧習に囚われた閉鎖的社会として写るアイルランドと、先進的で夢溢れる新天地としてのアメリカという対比のもとで、ひとりの人間として自立する歓びや、女性の生きづらさを描いています。とは言え、そんな解釈もどの登場人物にフォーカスして、どういう視点から作品を評価するかによって変わります。たった今観た同じ映画の感想を語っているのに、「ええ?そういう見方もあるの??」という、今回のトークサロンは、語る人によってその視点の違いが次々とあからさまになる現場でもありました。

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60分を超えるサロンの中身を強引にまとめるとしたら、「結婚に夢見る男性陣と現実をシビアに見つめる女性陣」という構図ではありました。三宮チャンピオンは「ブルックリン」の上映が決まった以来、打合せや立ち話で何度も「人生の決断を描いている作品だから、若い人の感想もぜひ聞いてみたい」とお話をされていましたが、きっと予想以上の多様な感想に圧倒されたのではないでしょうか。いずれにしても、観る人ごとに感想が違うということは、多くの要素を巧みに練り込んだ良い作品だったということでもあるでしょう。確かな選定眼の持ち主、三宮チャンピオンの手の平の上で遊ばせてもらったような1日でした。ご来場・ご参加いただいたみなさん、どうもありがとうございました。

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(A.H.)

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