報告 2023年01月05日更新

レポート: ラジオ下神白−あのときあのまちの音楽からいまここへ− 記録映像と音源、トーク


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開館から20年目の工事休館を間近に控えた7月末、7階スタジオシアターにて行われた『ラジオ下神白―あのときあのまちの音楽からいまここへ― 記録映像と音源、トーク』。福島県いわき市に震災復興の一環で生まれた下神白(しもかじろ)団地での取り組みを記録した映像と、そこから生まれた音源を、取り組みの中心であるアサダワタルさんと映像作家の小森はるかさんをむかえて体験しました。

 

あらためて、〈ラジオ下神白〉とは、福島県復興公営団地・下神白団地を舞台にしたアートプロジェクトです。東日本大震災と原子力発電所事故のあと、住み慣れた土地から離れることを余儀なくされた双葉町、浪江町、富岡町、大熊町の方々が集まって住むこととなった団地では、交流も少なく部屋からあまり出ない方もいました。そこで、アサダさんはそれぞれのお宅を訪ね回り、思い出の歌をきっかけにお話をうかがってラジオ番組"風"にしたCDをつくり、また団地内で配布することにしたそうです。

 

その取り組みの成果として生まれたCD『福島ソングスケイプ』と、『ラジオ下神白 ドキュメント映像』。この日はまずドキュメント映像を上映し、どのような距離感で〈ラジオ下神白〉が作られていったかを知りました。その後、アサダさんと小森さんが登場してのトークでしたが、CDから一曲ずつかけながら話は進みます。場内を少し暗くしてCDから流れる団地の方々の思い出話やご本人の熱唱(伴奏はアサダさんらによる"伴奏型支援バンド")がシアター内に響き渡り、その声に包まれるよう。

 

1時間にわたるトークのなかではさまざまなお話がありました。小森さんが、カメラを回しながら住民の方のお話をいっしょに聴いていた自分の立ち位置について話すと、それを受けてアサダさんは「プロジェクトは最終的に語りと音楽の音として集約していき、音だけだからこそ想像力を膨らませるところもある、しかし音だけでは伝えられない空気感や表情を小森さんが映像でとらえてくれた」と語ります。会場へもマイクを回しさまざまなコメントをいただいたところ、一人の方からは、昭和歌謡曲とその世代の人たちの力を感じたという感想をいただきました。


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