報告 2023年07月05日更新

第12回 どこコレ?ーおしえてください昭和のセンダイ レポート


【開催概要】

第1期

 日時:2023429日(土)〜57日(日)
 会場:1f オープンスクエア

第2期

 日時:2023510日(水)〜625日(日)
 会場:7f スタジオa、ラウンジ

関連企画 考えるテーブル 公開サロン

 日時:2023430日(日)
 会場:1f オープンスクエア

 

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収集した写真に写っている「コレ」は「どこ」なのかを来場者のみなさんにおたずねし、写真の情報を確定させていくプロジェクト「どこコレ?」。
おかげさまで「どこコレ?」は今年開催10周年を迎えました。多くの来場者の知識と記憶、推理により、これまで3,610枚の付せん紙が貼られ、281枚の写真の場所が確定しました。

10周年の感謝を込め、今回の「どこコレ?」では、これまでの写真を振りかえり、確定の決め手となった「どこコレ?」の極意をご覧いただきました。パネル上で繰り広げられた様々な記憶と推理の"名勝負"。確定に至った経緯が見る人に伝わりやすいようにパネルを整理し、「看板」や「地図」、「記憶」など、確定の決め手となったポイントをわかりやすくキャッチーなアイコンで来場者にお伝えできるようしつらえました。

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開場とともにご来場いただき、「今年も来たよ」「楽しみにしていたよ」とお声がけいただき、うれしく思います。毎年来てくれるいわば常連さんも増え、年々認知度が上がっていることを実感します。初日には「自分が高校生の時に撮った」という写真を持参し提供してくれた方がいらっしゃいました。これも10年という継続の力だと感じます。

数年にわたり場所が確定されていない写真の前では、ご夫婦が「仙台ではないと思う」と仰っていて、話しを伺ったところ「市電の走っていた道路は、こんなに大きな石畳ではなかった、もっと小さかった」と、他のパネルと見比べていたのですが、そこから、当時それぞれの市電に乗った思い出や、学校生活の思い出など、お話ししてくれました。同時期に違う高校で学生生活を送ったおふたりの、それぞれの仙台市中心部の思い出話は共通点あり、違う思い出もあったりと、大変興味深いものでした。

情報が多く寄せられながらも、数年にわたり場所が確定されない写真の前には、初対面の来場者同士がどんどん集まってきて、それぞれ「あの場所では?」など思うことを伝え合ったり、スマホで調べたり、電話で聞いてみたり、はたまた「いまから現地に行ってみる」と言う方がいたりと、盛り上がっている現場を何度も目にしました。数日後、現地調査の結果を報告しに再度来てくれたり、写真を撮ってプリントしてきてくれたり、現地の方に聞いてきてくれたり、と、みなさんの心意気にスタッフが驚くほどでした。

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「どこコレ?」開催当初は、「懐かしい昔の写真」という第一印象で、シニア層から多くご来場いただいていましたが、4050代の方が増えていき「親に話しを聞いてみる」「次回は祖父母を連れてくる」とご家族揃ってご来場いただくことが多くなっていったように思います。また、ここ数年は20代の方がぐんと増えました。「懐かしい」「ノスタルジー」だけではない、ネットやSNSなどを駆使した「新しい見方」の広がりにより、若者たちに関心を持ってもらえたことが、これまでの10年の成果として育ってきたと感じています。

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また、開催2日目となる430日は、関連企画として「考えるテーブル」を4年ぶりに開催。「どこコレ?」10周年ということで、撮影場所が確定に至る様々な"決め手"を紹介させていただきました。
これまで確定されてきた写真が、どういう理由で確定に至ったのかを整理してみると、7つのパターン(1.証言・記憶、2.影、3.看板、4.地図・古地図、5.新聞・資料、6.風景、7.定点写真)に分類することができます。それらの組み合わせで確定していく経緯を、ゲスト3名をお迎えして、解説していただきました。

服装から季節を判読したり、写真の端っこに写る地番が決め手になったり、影の向きを確認したり、線路の本数や向きなどを検証したり。写真&パネル上でやりとりされた付せん情報も含め、謎解きを来場者みんなで楽しむ会。おかげさまで「どこコレ?」の魅力をさらに知っていただける会になりました。

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 「どこコレ?」は、場所を特定するということが目標のひとつではありますが、記憶を辿る、記憶を話していただく、記憶を残していく、という目的もあります。コロナ禍では、ウェブサイトやSNS、テレビ、新聞、現地など、これまで「どこコレ?」では使ってこなかったメディアを積極的に活用した「どこコレ?」を展開してきましたが、間口を広げるいい機会になったと思います。
また、そういう意味では、自分たちのまちでも「どこコレ?」を開催したい!という声を多くいただき、これまで北海道小樽市、秋田県八郎潟町、青森県八戸市、東京都新宿区、東京都都千代田区、神奈川県横浜市、長野県長野市、香川県高松市、熊本県熊本市で実施されました。今年度も、さらにお問い合わせをいただいております。
写真が数枚あれば、全国どこでも開催できるイベントです。これを機に、全国にますます「どこコレ?」の輪が広がることを期待しています。

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なお、NPO法人20世紀アーカイブ仙台では引き続き古い写真や8ミリ映像を募集しています。



(文責:20世紀アーカイブ仙台)


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