本と遊ぼう!ブック・アイディアコンペ(2010年度事業) 2010年07月16日更新

本と遊ぼう!ブック・アイディアコンペ 審査結果発表


Book! Book! Sendaiからのご報告>

本についてのさまざまなアイディアを募集するブック・アイディアコンペは、5月15日~6月15日までおこなわれました。 この企画のねらいとして、イベントを主催者が一方的に企画して提供するのではなく、一般の方々に「あなたならどんな本の企画を考えますか?」と聞いてみることで、主催者と参加者の立場を少しだけ反転させ、だれにでも本の企画者になれることを知ってもらい、そこから思わぬアイディアが生まれるかもしれないという期待がありました。 それでは審査員による結果を発表いたします。

南陀楼綾繁賞

小林彩子さん「スクール・オブ・ブックス」受賞の言葉

◆仙台市民図書館賞

小林彩子さん「スクール・オブ・ブックス」 受賞の言葉

◆せんだいメディアテーク賞

池田いつ子さん「本を継ぎ接ぎ!(つぎはぎ)」 →受賞の言葉

Book! Book! Sendai

吉村悠樹さん「Feeling books」

受賞者の皆様、おめでとうございます。

「スクール・オブ・ブックス」は南陀楼綾繁賞、仙台市民図書館賞のダブル受賞となりました!

<受賞アイディア紹介>

◎南陀楼綾繁賞&仙台市民図書館賞  

小林彩子さん

Q.タイトルは?

A. スクール・オブ・ブック

Q.内容をくわしくおしえてください

A.・市内の小(中)学校の校舎を一日だけ丸ごと図書館にしてしまうという企画。

・各教室にはそれぞれの分野に関する書籍を展示(例、図工室→デザイン・絵本 家庭科室→料理・洋裁etc)。気になった本は即売スペースで購入することも可能。

・「黒板サイズの本を作る企画」...来場者のよせがきを黒板よせがきを黒板サイズの紙に書いてもらい一冊の本に仕上げる。

Q.どんな場所?

A.小学校又は中学校

Q.広さは?

A.校舎一棟丸ごと

Q.どのくらいの人が参加しますか?

A.1000人くらい(スタッフ、来場者含め)

Q.どんな人に向けてやりますか?

A.高校生~上限なし(小中学校の雰囲気をなつかしく思ってもらえることを狙う

Q.お金はどのくらいかかりますか?

A.本の仕入れ値、運営費

Q.ゲストはいますか?

A. ゲスト有り。 体育館や図書室でトークショー開催

Q.宣伝はどのようにしますか?

A.市内の書店、図書館にフライヤー配布

Q.どんな雰囲気をつくりたいですか?

A.明るく親しみやすい雰囲気

Q.一回だけですか、継続したいですか?

A.継続(毎日違う学校で開催)

Q.この企画のおすすめは何ですか?

A.「黒板サイズの本を作ってみよう!」

せんだいメディアテーク賞  

池田いつ子さん

Q.タイトルは?

A.本を継ぎ接ぎ!

Q.内容をくわしくおしえてください

A.「本を継ぎ接ぎ!」...みんなで持ち寄った文をつなげて読んで面白がろう。

準備

・一人一冊の本を持ってくる(例えば、小説ならなんでもいい、とか)読み終わった本のほうがいい。

・人数分のカード(名刺くらいの大きさ)×回数分

実践

(1)人数が少なければ全員で、多ければ5、6人でグループをつくる。

(2)何かテーマを決める(グループで1つ)

(3)そのテーマに合いそうな一文を、各自が自分の本の中から探してカードに書く(他と組み合わせて面白さを発揮しそうな一文を選ぶ)カードの裏に出典を書く。

(4)グループのメンバーのカードを持ち寄り、どう並べたら一番面白いかを話し合う。順番を決めて、カードに通し番号を書く。

(5)できあがった文章を読み上げて、味わう。 人数が多くていくつかグループができるときは、一連するテーマをあらかじめ決めておくこともできる。そのときは、全体を通じて読んで面白くなるよう、テーマの選び方とその順番に工夫が必要になる。

《1》各グループに別々のテーマを与える。

《2》各グループが(3)~(5)を行う。

《3》テーマの順番に従って、各グループの文章を読み上げていくと、一つのお話ができる。→どんなものになるか。全員で面白がれれば最高。

テーマとその並べ方の例・挨拶の言葉・表情の描写・持ち物が書かれてにる描写・会話文 

A・景色の描写・動物の描写・会話文

B・主人公の気持ち

Q.どんな場所?

A. どこでも可

Q.広さは?

A. 人数に合わせて、どれくらいでも可

Q.どのくらいの人が参加しますか?

A. どれくらいでも可

Q.どんな人に向けてやりますか?

A. だれでも可

Q.お金はどのくらいかかりますか?

A. 場所代とカード代と手作りチラシ代

Q.ゲストはいますか?

A.いません。

Q.宣伝はどのようにしますか?

A. 手作りチラシを配る。

Q.どんな雰囲気をつくりたいですか?

A.何でも面白がれる雰囲気

Q.一回だけですか、継続したいですか?

A. 何度やっても毎回違うものができるので、何回やっても楽しめる。出来あがったものを集めていって冊子を作ってもいい。

Q.この企画のおすすめは何ですか?

A.組み合わせの妙を楽しめる。本を精読する。

Book! Book! Sendai  

吉村悠樹さん

Q.タイトルは?

A. 未定(Feeling books)

Q.内容をくわしくおしえてください

A.若者があまり読まない国語の教科書に載っているような小説(夏目漱石、宮沢賢治等)を音楽にして表現する。ストーリーの内容、背景、時には物語の中に出てくる言葉を使って曲を制作。アマチュアバンドに事前に曲制作をお願いする。自分も昔の本はあまり読まないが、音楽を通じて世界感を感じることができ、もっと詳しく知りたいと思って本を読むかもしれない。

Q.どんな場所?

A. 勾当台公園広場

Q.広さは?

A.勾当台公園広場

Q.どのくらいの人が参加しますか?

A. 1,000人

Q.どんな人に向けてやりますか?

A. 若者(大学生、高校生、中学生)

Q.お金はどのくらいかかりますか?

A. 1千万円

Q.ゲストはいますか?

A.Mr.Children

Q.宣伝はどのようにしますか?

A.フリーペーパー

Q.どんな雰囲気をつくりたいですか?

A. 静か、冷静、熱くならない

Q.一回だけですか、継続したいですか?

A.継続した方が良い

Q.この企画のおすすめは何ですか?

A. これまであまり手に取らなかった本に興味がわくのでは

<審査員のコメント>

◎南陀楼綾繁さん

総評

寄せられたアイディアを見ていると、「本を通しての人びとがコミュニケーションできる場をつくりたい」という気持ちが伝わってきます。公共の場所を読書カフェにするといったプランが多いのが、ふだん、本の話をする機会がないということの裏返しかもしれません。ただし、それだけに、どうしても似たようなアイディアが多くなってしまいます。私が選んだ企画は、オリジナリティがあるとともに、単純に実現したら面白そうと感じたものです。あと、「ブック・アイディアコンペ」なのですから、人を集めるイベントだけじゃなくて、本そのものについてのアイディアがもっとあると良かったです。読書という営為を、意外な角度から見つめ直すプランを期待したいところです。

■南陀楼綾繁賞「スクール・オブ・ブック」

いいブックイベントは、(1)イメージしやすい、(2)いろんな立場の人が参加できる、(3)空間的・時間的な広がりがある、という3要素を満たしているものだと私は思っていますが、この「スクール・オブ・ブック」もそれに当てはまります。学校という大きな空間を、教室の単位に分けていけば、ジャンルごとの図書館ができますし、図書館以外の企画もやりやすいでしょう。たとえば、プールサイトでカフェを開くとか、校庭で野外映画界を行なうとか、いろんなアイディアを出したくなりますね。「黒板サイズの本をつくる」という企画も、壮大でばかばかしいところがいいです(ただ、寄せ書きだけじゃ「本」にはならないので、もうひと工夫ほしいところ)。どこかの町の学校を借りるとして、その町の知恵者・曲者たちがわいわい云いながら実現させていくということになれば、すごく面白いと思います。

◎仙台市民図書館/せんだいメディアテーク

総評

意外な発想が面白く、参考になった。アレンジを加えれば実現出来そうなアイディアも多かった。

■仙台市民図書館賞 「スクール・オブ・ブック」

学校の校舎が、様々な世代の人々と本をつなぐ懐かしい空間になりそう。

■せんだいメディアテーク賞 「本を継ぎ接ぎ!」

カードの組合せで何通りも楽しめる、新しいゲームのようなアイディアが面白い。

◎Book! Book! Sendai

総評

どんなアイディアが集まるかな、全然こないかも、と期待と不安の入り混じる思いで応募を待っていました。野外の公園や森で読書や古本市というのをいくつもいただいたので、ニーズを感じました。ほかに「動物や昆虫と絵本作り」には会場や講師によっておもしろい作品ができそうだと思いました。「仙台文学時報」は「実際に本に出てくる時間を時報にして、そこから30分、文章を朗読して時報とする」もの。もしあったら必ず利用するでしょう。 「いちばん古本祭」は本を使ってさまざまな雑技を競い、ギネスに挑戦するというもの。 特別賞があったらあげたいと思いました。 <(前略)例えば「世界一横に長い本棚」の古本祭(三段の本棚を東京駅地下コンコース壁沿いに本棚の横板以外の途切れなく、背を見せて本を並べる。約350メートル)。 必ず中国での万里の長城を利用した挑戦によって破られるので、利根川沿い、富士山一周、など、毎年挑戦する。アマゾン川沿いをアメリカチームが攻めてくるので、なかなか記録保持は難しいだろう。 または「世界一冊数の少ない古本祭」。広大な会場の中央に絶対売れなそうな一冊を展示。 古本祭の定義を問われるので難しいかもしれない。 または「世界一標高の高い古本祭」(富士山頂)(後略)>などなど。 すでに世界で行われているものらしいのですが、真偽は定かではなさそう...。 本という、老若男女を問わない巾広いモノで、自由に楽しむ方法がもっとあらわれて、街のあちこちで本を介した遊びが増えてほしいと思います。

Book! Book! Sendai賞「Feeling books

音楽と本というテーマは今後やっていきたいと思っていたので、選ばせていただきました。 予算1千万円、ゲストに Mr.Childrenなどは我々の力では無理ですが(笑)、「楽都」と呼ばれる仙台ですぐにでもできるやり方はあると思います。 最近では桑田佳祐が『音楽寅さん』で披露した『声に出して歌いたい日本文学』(太宰治や夏目漱石の作品の一節を使い桑田が作曲)が評判になりましたが、"音楽を通じて世界感を感じることができ、もっと詳しく知りたいと思って本を読むかもしれない"には共感できます。

受賞しての感想

南陀楼綾繁賞+仙台市民図書館賞 小林彩子さん

タイトル「スクール・オブ・ブックス」

この度はありがとうございました。 アイディアのタイトルが某映画のパロディーなのにも関わらず、そのうえ2つも賞をいただくとは思っていなかったので受賞通知が来たときは正直あわてました。 そんな企画ですが綾繁さんをはじめ皆さまに評価をいただけたことをとても嬉しく思っております。 元は「ロックフェスみたいに1つの会場で様々なジャンルを楽しめる空間を作ってみたい」という単純な発想からスタートしました。 ストリート、既存のカフェ、街の小ホール、オフィス、一軒家など会場はさまざまな候補をあげながら考えていたのですが、最終的に誰もが共通して行ったことがある「小学校」に決めました。 通っている当時は授業や休み時間に夢中で気付かなかったのですが、大人になって全体的に見渡すとクラスの教室の他にも理科・音楽・家庭科などのいろんなジャンルの教室もあるところが1つの建物にいろんなジャンルの本が置いてある図書館にも似ていると思ったからです。しかも学校には校庭という広い「庭」とプール、さらに体育館という「館」まで付いているから既存の図書館よりもたくさんの人が呼べそうだしおもしろそうだなぁ、と。 その中でやってみたい企画は読書好きの友人と小学校の思い出話をしながらアイディアをふくらませました。(ちなみに『黒板サイズの本』は友人の当時の願望が元になっています) たとえ丸ごと実現できなくても、今後本を使った何かの企画の一部分となることを楽しみにしています!

受賞しての感想

せんだいメディアテーク賞 池田いつ子さん

タイトル「本を継ぎ接ぎ!」

ブックアイディアコンペに応募した「本を継ぎ接ぎ!」がせんだいメディアテーク賞を受賞し、驚き半分でとてもうれしいです。 これは、以前観た美術展での作品にアイディアを得ました。 いろんな本をたくさん並べて作ってある作品でした。一冊の本から一行ずつ選んで、そこだけが表に出るようにページを折りこんであります。観客は端から、選ばれた一行を順に読んでいくことになります。 本をこういう使い方するのか、とか、別々の本の中の一行をつなげて読むのも面白いものだな、とか、色々感じるものがありました。 今回、このコンペのことを知ったとき、自然とこの作品のことが思い出されました。いろんな本の一部分を繋ぎ合わせることの面白さを共有するにはどうすればいいかを考えた結果、カードに書いて並べ換えることに行き着きました。 本来ならば、その作品についてご紹介するべきだろうと思いますが、なんとしても思い出せません。どこで開かれたなんという美術展だったのか、作者は誰だったのか。 この「本を継ぎ接ぎ!」は、ワークショップとしてやってみたいです。どんな文章が出来上がるのか、そもそも、こんなことでみんなが面白がれるものかどうか。 どなたか、どこかに、チャンスをください!

<賞品>

◆南陀楼綾繁賞

『一箱古本市の歩きかた』南陀楼綾繁著(光文社新書)

『spin 07 特集:ブックイベントのたのしみ』(みずのわ出版)

◆仙台市民図書館賞

『ミルフイユ』(せんだいメディアテーク発行)1,2巻セット

◆せんだいメディアテーク賞

せんだいメディアテークと木村浩一郎とのコラボレーションによるオリジナルグッズ 「I♡chopsticksのレース」

◆Book! Book! Sendai賞 

*メンバーの関連する出版印刷物、計10点。

『バンスイ、トウソン ヲ、イマ ヨム。』武田こうじ(風の時編集部)

『ふきながし 5号』(sifflez)

『杜の日記帖』佐伯一麦(仙台闊歩新書001)

『視線の先に』川野達子(仙台闊歩新書002)

『市民の日本語』加藤哲夫(ひつじ市民新書001)

『美術×映像 境界領域の創造的カオス』松本俊夫編(美術出版社)

「ダダカン ポストカード」

「小岩勉ポストカード」

『火星の庭俳句会 合同句集 2009年版』

「月刊佐藤純子」全ナンバー

*賞品の発送については、受賞者に直接Book! Book! Sendai実行委員会からご連絡いたします。

ご参加、ご協力、サポートいただきまして、ほんとうにありがとう ございました!


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