報告 2020年09月08日更新

河北新報に当館学芸員による紹介記事が掲載されました


2020年9月8日付 河北新報朝刊に、当館学芸員が「公共建築はみんなの家である」展 〜伊東豊雄の4つの公共建築〜」について紹介した記事が掲載となりました。

掲載文章を本記事に転載いたします。

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「公共建築はみんなの家である」展 ~伊東豊雄の四つの公共建築~

 せんだいメディアテーク 企画事業係長 清水有

 日本を代表する建築家、伊東豊雄氏は「せんだいメディアテーク」(仙台市)や「台中国家歌劇院」(台湾)をはじめ、数々の公共建築の設計を行ってきました。また、東日本大震災後は伊東氏らの発案により、多くの建築家たちが被災地で「みんなの家」を設計しました。現在でも「みんなの家」は、人々が集まって話しあったり、各種のイベントをしたりする場として活用されています。

本展は、伊東事務所が手掛けた「せんだいメディアテーク」、「まつもと市民芸術館」(長野県松本市)、「座・高円寺」(東京都)、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」(岐阜市)の、公共建築4施設のキーパーソンや利用者、スタッフなどの声を取材し、詳細でわかりやすい相関図にまとめています。例えば、せんだいメディアテークのパネルには「生活の一部、空気のような存在」「ほっとできるみんなの家」といった常連さんの声、高円寺のコーナーには「劇場のカフェは自由に使えて、俺ん家みたいなんだよ!」などの利用者の声が建物の写真や設計図とともに、所狭しとレイアウトされています。これらの相関図にある声を眺め、観覧者一人一人に意見を持ってもらい、これからの公共建築の意義やあるべき姿を考えていこうというのが本展の狙いです。

 伊東氏は自身の近著『美しい建築に人は集まる』(平凡社)の中で「もっと優しくなれ。優しい視線で建築を考えよう。それは、弱い立場でものを考えるということではなく、むしろもっと自分が強くありたいという気持ちです」と語ります。更に未曾有の震災の後に自身の建築に対する思いの変化もつづっています。「建築とは五感に訴えかける美しい空間を作ることであり、その建築にはおのずと人は集まる」という言葉は本展とも重なり、現在の伊東氏の心の内を感じることができます。

現在は多くの人が一堂に集まることが困難な時期ですが、移動パネル4枚の小さな展示として開催することになりました。しかしそんな今だからこそ、人々が集う場所をつくる公共建築について多くの皆様に関心を寄せて頂ければと思います。ぜひこの機会にご鑑賞下さい。

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「『公共建築はみんなの家である』展 ~伊東豊雄の四つの公共建築~」は、1021日まで、仙台市のせんだいメディアテークで開かれている。(924日は休館)

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