報告 2014年11月30日更新

第39回 てつがくカフェ「震災とメディア技術」レポート


【開催概要】
日時:2014 年 12 月 21 日(日)15:00-17:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:綿引周(てつがくカフェ@せんだい)
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2014/11/39-.html


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写真1

今回のてつがくカフェはせんだいメディアテークの展覧会「記録と想起 ・イメージの家を歩く」(*1)の関連イベントとして、作品鑑賞とてつがくカフェでの対話を通し、考えを深めようと企画しました。考えるテーブルの家具は6f展示会場のホワイエに並べ、作品が発するさまざまな音や声が響く中、対話は始まりました。

写真2

前半は、テーマに沿って参加者が自由に語り合い、お互いの意見の違いを汲み取りながら、自分の考えを見つめ直してみる時間です。みなさんがそれぞれの経験をもとに話してくださり、メディアが時間や空間、人の身体性をも超えるほどの強度で震災を伝えるということが話題になりました。ある方は、被災地から離れた場所にいながら災害の映像を繰り返し見たことで、「メディアによって被災した」と語った知人の方の言葉についてお話ししてくださいました。また、被災者の顔を映像に撮ろうとしたとき、相手を傷つけているように感じて怖くなったという体験をされた方のお話から、メディアの加害性についても考えていきました。ほかにも、メディアは人と人とをつなぐだけではなく分断しているようにも感じられる、話すこと/聞くことも情報を伝えるメディア技術のひとつではないかという意見がありました。

写真3

後半は、前半の話題からキーワードを挙げ、私たちのもつ漠然とした問題意識を哲学的な問いの形にしていきます。ここではみなさんにたくさんの問いを立てていただきましたが、中でも注目を集めた「やさしいメディアのつくり方/選び方とは?」という問いから、今度は「やさしいメディア」とはどんなものかを考えていきました。ある方からは、受け取る情報を自分で選択し、自分のペースで受け取れることが大事なのではないか、またある方からは、相手の伝えたいことを身体全体で受けとめるという関係性を含んだものなのではないかという意見が語られました。
てつがくカフェで形になった問いについて、これからもじっくりと考え続けたいと思います。

写真5 写真4

写真8

*1...「記録と想起・イメージの家を歩く」
せんだいメディアテークが2014年11月15日〜2015年1月12日に開催した展覧会。台所や寝室など生活空間を模した空間に、同館が2011年5月から開始した、被災下の日々の生活を映像などで記録する活動「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の映像アーカイブを展示し、記録がもつさまざまな表情を引き出す試みをおこなった。

報告:S(てつがくカフェ@せんだい)





*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=11079#report


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