報告 2015年10月04日更新

第46回てつがくカフェ「〈忘れる〉を問い直す」レポート


【開催概要】
日時:2015 年 10 月 4 日(日)15:00-17:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:辻 明典(てつがくカフェ@せんだい)
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2015/10/46.html


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今回は〈忘れる〉とはどういうことか、その意味や意義を探る形の対話となりました。

はじめに、参加者の方々から〈忘れる〉ことについて思ったことを自由に話していただきました。

すると、〈忘れる〉とは「(自分が気にしなくなって)思い出せなくなること」、「(周囲が話題に出さなくなり)風化すること」という意見が出されました。〈忘れる〉には、自分自身が忘れることと、周囲に忘れられてしまうことといった意味合いがあるようです。

そこからは、主に自分自身が忘れることについて対話が進んでいきました。

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まず、〈忘れられること〉と〈忘れられないこと〉について。

忘れられることは正しかったこと、自分が納得できたことであり、忘れられないことは後悔していることなどネガティブなものだという意見が出されました。

また、忘れることは自分を守る手段だという意見も出されました。直接向き合い難い物事から距離を置くという考え方です。

このほか、個人を越えた大きな物事に関しては、(個人として前述のように忘れても)集団としては忘れない形もあるという指摘もありました。

また、〈忘れる〉とは、字のごとく心を亡くすことだという意見が出された一方で、それはネガティブ・ポジティブ表裏一体のものではないかという意見も出されました。

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そして、〈忘れない〉ということについて。

ここでは、忘れられなくてもぐるぐると考えていくうちに、その物事を客観視できるようになってくるという意見が出されました。

また、ある方は、民話などを例に挙げ、現実をありのまま覚えるのが辛すぎるときに別の話をつくりその中に想いを託すこともある。〈忘れる〉とは別な形で覚えておくことでもあるのではないかという意見を出されました。

さらにそのことから、〈忘れる〉とはある物事をいったんばらばらにすることでもあり、それを別な形で「物語化」し再構築することでもあるのではないかとの意見がありました。

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以上のような対話をふまえ、〈忘れる〉というテーマをより深く考えていくためには、どのようなキーワードが挙げられるか考えていきました。

・物語
・距離感
・納得
・営み/状態
・制御できない
・興味・関心・こころ
・優先順位

〈忘れる〉という言葉から上記のようなキーワードが出され、対話をする前の〈忘れる〉の印象とはまた違った切り口を見出すことができました。

ここで時間となりましたが、これらのキーワードが出たことで、参加者それぞれが〈忘れる〉について、さらに深く考えていく材料となりました。

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報告:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)




*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=12375#report


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