報告 2016年07月31日更新

第52回てつがくカフェ「安全を決めるのは、何/誰か?」レポート


【開催概要】
日時:2016 年 7 月 31 日(日)15:00-17:30
会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
ファシリテーター:西村高宏(てつがくカフェ@せんだい)
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2016/07/52.html


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写真1

「想定外」と称された福島第一原発事故から5年が経過しました。
この事故は「安全」そのものについて、再度立ち止まって考える機会を与えてくれました。
そこで今回は、「安全を決めるのは、何/誰か?」というテーマについて、「安全」という言葉に焦点を絞り、対話を通してじっくり考えました。

はじめに、皆さんから「安全」について自由に意見を述べていただきました。それらの意見は「そもそも安全とは何か」、「安全を判断するときは必ず前提がある」、そして「安全から生成されるもの」という3つに分類することができました。

写真2

まず、「そもそも安全とは何か」に関しては、「物事には予見できない不確実性があるため、安全は普遍的なものではない」、「安全とは感情のあり様であり、感覚によって規定される」、「安全は(客観的に見た)状態なのか(関係性によって築かれる)営みなのか」という意見がありました。

写真3

次に、「安全を判断するときは必ず前提がある」では、前提とされるものとして、「人間関係」、「環境」、「安心」、「情報量」、「知識量」があげられました。
そして、「安全から生成されるもの」として「信頼」という意見がありました。
これらの意見をめぐっては、原発事故、食品安全や新薬開発が例にあげられ、対話が繰り広げられました。以上を踏まえて、次のステップとして、「安全」についてより深く考えていくための<キーワード>をあげていきました。
そして、以下のようなキーワードが出てきました。

・決める(誰、何)
※安全は「決まる」ものなのか、「決める」ものなのか
・関係性
・獲得できるもの?与えられるもの?(能動的/受動的)
・客観的/主観的
・自分を偽らない力
・マクロ/ミクロ、見える/見えない(対象物の大きさ)
・管理
・リスク
・信頼
・距離

最後のステップでは、これらのキーワードを踏まえ、今回のテーマへの応答として、「安全とは○○○である」との私たちなりの定義を考えました。

・関係性の上で成り立つ状態である
・リスクを減らしていく永遠の運動である
・自分が被害を受けないと感じた時の感情である
・許容できる範囲の危険である
・健全な対抗文化の構築である
・情報を知りうる状態である
・関係性を構築することである

定義について意見を述べられた方の中には、安全とは「永遠に更新されていくもの、作り上げるもの、何度もやり直さなくてはならないものだ」と話す方もいらっしゃいました。

ここで、対話の中からじっくりと考えていく時間は終了となりました。
今回のてつがくカフェでは、安全についてじっくりと考えるための素材が出てきました。それらを活かし、参加した皆さんは、さらに考えを深めていかれることと思います。

写真4

報告:木村涼子(てつがくカフェ@せんだい)




*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=13049#report


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