報告 2020年02月10日更新

【レポート】第74回てつがくカフェ


【開催概要】

第74回 てつがくカフェ
日時:2020年1月25日(土)13:30−16:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:八木まどか(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)

(告知ページ:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2019/12/12574.html

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 今回は、今年度最後のてつがくカフェです。昨年度から、より細やかに丁寧に対話を進めていきたいという思いから、その場に集った方たちと共にテーマを作り上げてから、てつがくカフェを始めています。そして今回のテーマは、「信じるとは何か?」となりました。

 対話は終始、和やかな雰囲気のなかで進んでいきました。それは「ただ好き放題に話している」というわけでは決してなく、誰もが他者の言葉をきちんと受け止めて、自身の言葉にしてから返していく。こういった丁寧なやりとりが、参加者のみなさんと共に、一貫して積み上げられていった印象が、とても強く残っております(場の雰囲気を文章で伝えることは、とても難しいことですね)。

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 「信じる」とは、「理解しよう」との欲求と結びついているのではないか。一方で、「信じる」ということは、他者に自分をあずけてみようとすることでもある。「思考停止」と言い換えることもでき、度を過ぎると危険な営みにもなりかねない。また、愛と信仰との関係性の中で、「信じる」ことについて語られる方々もおられました。

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誠に多様な経験や実感にもとづいて、「信じる」についての対話は進みます。そして、積み重ねられた言葉を踏まえて、「信じるとは何か?」を考える上で、外せないと思われるキーワードをあげていきます。今回は、非常に多くのキーワードがあげられていきました。

キーワード

  • 安心、安全
  • 勘違い
  • 思い込み
  • 信念
  • 便宜上
  • あこがれ
  • 疑い、懐疑
  • 思考停止
  • 言葉
  • 一貫性
  • 実績
  • 肯定
  • まかせる
  • 沈黙、無言
  • 信用
  • 信頼
  • 信念
  • 信仰

 個人的に印象に残っているのは、テーマが「信じるとは?」であり、「安心、安全」といった言葉があげられたものの、原発事故、放射能についての話題があがらなかったことです。震災後の時間の経過を感じる一方で、レポートを書いている私自身はといえば、原発事故にまつわる出来事がふとよぎっていました。発言はしなくとも、対話の内容と自身の経験を関連づけながら、内面で思考をしている。そういった方々も、きっとおられたことと思います。

 そして、キーワードを関連づけたり、分類したり、自身の経験と関連づけたりしながら、さらに吟味をしていきます。そして最後のプロセスとして、これまでの対話をもとに、「信じる」の定義を作っていきます。

〈定義〉

信じるとは。

  • 安心、安全
  • 生きることと結びついた、無条件の肯定である。ただし、対象が人の場合。
  • 信じるとは、生き方である。

 一方で、「定義を作ってしまっては、せっかく盛り上がっていた話が収束してしまうのではないか?」といったご意見もいただきました。しかしながら、定義は決して議論を収束させるために作るわけではありません。2時間半ものあいだ、手間暇をかけて積み重ねられてきた言葉を、一つの文章のなかに込めてみる。これによって今回は、「信じる」の定義をときっかけとして、また更なる対話も生まれました。てつがくカフェが終了してからも、多くの方々が黒板の前に居残り、対話を続けておりました。

 参加してくださったみなさん、また、レポートを読んでくださったみなさん、どうもありがとうございました。来年度も、よりじっくりと、みなさんの思考のプロセスに寄り添いながら、対話の場を開いていきたいと思っております。是非、またご参加ください。

(下の黒板写真はクリックで拡大します)

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