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報告 2022年11月09日更新
【レポート】第81回てつがくカフェ(オンライン)
【開催概要】
第81回てつがくカフェ@せんだい
日時:2022年10月22日(土)14:00-16:00
会場:zoomを使用したオンラインでの開催
ファシリテーター:安田義人(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)
今回のてつがくカフェのテーマは、「『信じる』と『裏切られる』」。参加者・スタッフ総勢8名での対話となりました。
はじめに、今回のテーマについて感じたことを自由に出していきました。友人や家族とのエピソードや社会情勢の話題を切り口として、対話が進んでいきました。「『信じる』ことには根拠が有るときと無いときがあるが、『裏切られた』と感じることには何かしらの理由がある。」という話が出ました。
そこで、「信じる」ときに根拠となっているものは何かについて考えました。例えば、「努力した結果としての勝利」や「試験の合格」が挙がりました。結果に対して何かしらの因果関係をもたらす過程がある際には、根拠が有って「信じる(信じている)」のではないかという話が出ました。反対に、根拠もなく「信じる (信じている)」ことは何かを考えると、「無意識に感じている家族からの愛情」、「輪廻転生」、「思春期の恋愛関係において、自分が好きだから相手も自分が好きなはずという思い込み」、などが挙がりました。
また、「信じる」と対比的に「裏切られる」についても考えました。「裏切られた」と感じるときはいつなのかを考えてみると、「相手と自分の都合がマッチしないとき」が挙げられました。そのほか、友だちが自分にとって良くないことをしたとしても、友だちなりの理由があっての行動であるため、「信じてたのに(裏切られてしまった)」と思うことは無い。」という話も出ました。
加えて、「裏切られる」と「騙される」について考えてみたいという問いかけが出ました。この問いかけには、「裏切られる」はただ単に両者の都合がマッチしていないだけであるが、「騙される」は悪意が存在しているのではないだろうかかという意見が出ました。また、単に嘘をつかれることを裏切りと感じるのではなく、自分が相手にかけていた期待に応じてもらえなかったことや、自分の存在を小さく見積もられたような感覚のことを裏切りと捉えているのではないかという話も出ました。
対話を進める中で、今回のテーマ設定の背景には、「『信じる』ことについてみんなで考えてみたいという思いが発端にあった。」という話が出ました。このため、休憩を挟んで始まった後半は、これまでの対話から、「信じる」をさらに深く考えていくためのキーワードを挙げていきました。出されたキーワードは以下の通りです。
・時間
・揺らぐ(揺らぎ)
・一人称、主観性
・根拠
・真実と事実
・肯定
・価値、価値観
さいごに、今回の対話の成果を「信じるとは、~である。」の形で考えることとしました。今回の対話の中で漠然と考えてきた「信じるとは何か」という問いの定義は以下のものが挙がりました。
・相手を根拠もなく受け入れられるようになること
・時間をかけて形成された主観の状態が揺らがないこと
・疑わないこと、見返りを求めないこと
・推論や思考の結果として至るものでは無く行動や認識の出発点として位置付けるもの
・疑いを重ねた先にあるもの
・人に唯一残された思考
今回のテーマは「『信じる』と『裏切られる』」ではありましたが、最終的には「信じる」について軸足を置き、ゆっくりと丁寧に対話を重ねて考えた回となりました。
文責 てつがくカフェ@せんだい