報告 2023年02月22日更新

【レポート】第82回てつがくカフェ(オンライン)


【開催概要】

82回てつがくカフェ@せんだい

日時:2023128日(土)14:00-16:00

会場:zoomを使用したオンラインでの開催

ファシリテーター:安田義人(てつがくカフェ@せんだい)

ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)

 

 

今回のてつがくカフェは、「帰る」というテーマで行いました。帰るというと見慣れた光景(街)やものと関連しそうですが、戻ることと帰ることはどう違うのか、宇宙探査機(無機物)の場合はどうなのかなど、はじめにいくつか問題提起をしました。それから参加者が思い浮かんだことを、自由に話してもらいました。

 

 対話のステップでは、「家や実家が『安心して帰る』場所にならない可能性もある」、「普段とは別の場所にいて、いつか帰ることを考えると非日常的な経験を大切にしたくなる」、「人間の『本性』と関係がある」などの意見がありました。それに続いて、帰ることと「過去」、「自分」、「変化」、「立て直す・治す・癒す」には関係があるのではないか。また「帰るところは新しく作ることもできる」などが挙げられました。ほかに、帰ることと無機物(宇宙探査機など)の関係については、「帰ってこないものと帰ってくるものに対してもつ感想は異なるか」という問題提起がなされました。それに対して「無機物でも活躍して帰ってきたらすごい」、「無機物にも人間と同じような面があるのではないか」という意見が出ました。

 

上を踏まえて、今回の哲学対話の「キーワード」として何が挙げられるかを参加者に尋ねました。挙げられたキーワードは以下でした。

 

・帰るとなつかしさ

・帰ると帰りを待つ人

・土地

・困難、クタクタ

・安心感、違和感

・物語

・回復

・前提(条件)

・出家と家出

・成果

 

 その後、キーワードの似たものをまとめたり、もう一段階抽象度を上げてみたりする時間をとりました。そこでは、「なつかしさ・癒し・安心感・回復」がまとめられるのではないか。「困難・クタクタ」と「物語」が結びつくのではないかという意見が出ました。「出家と家出」は同じ「脱却」であって「違和感」と関係がありそうだという話もありました。

 

最後に、今回の対話を踏まえて参加者に「帰るとは何か」という題目で定義(帰るとは...である)を考えてもらいました。

 

・対象を統合するために必要な行為

・出会い

・おぼつかない状態をひとつにまとめること

・変化の逆にあるもの

・2つの時間軸(帰るところ、今いる場所)の接点がつくられること

・還ること

・過去と現在をつなぎ合わせてくれる行為

・その人の物語を養い、本質に還ること

・ほっとすること

・自分を見つめること

・体と心を元の状態に戻す、記憶にある落ち着ける領域に戻ること

 

最後の定義では、参加者の意見が一つにまとまるというよりは、多様な視点で語られていたことが印象的でした。帰ることは「時間」、「物語」、「本質」、「安心」、「自分」、「他者との関係」、「変化」などと関係する。次回のてつがくカフェは、311日(土)に「『帰りたいけど、帰れない』を考える」というテーマで行います。今回のてつがくカフェで考えたことが、どのように結びつくかも興味深い問題かもしれません。

 

文責:てつがくカフェ@せんだい


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