報告 2023年07月04日更新

【レポート】第84回てつがくカフェ ーシリーズ「結婚の定義」ー


【開催概要】

84回てつがくカフェ@せんだい

日時:2023年6月25日(日)14:00〜16:30

会場:7f スタジオa

ファシリテーター:安田義人(てつがくカフェ@せんだい)

ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)


P1200928_トリミング_軽.jpg

今回のテーマは「結婚」でした。


//


コロナ禍以降、4年ぶりとなる対面でのてつがくカフェ。コロナ禍で失った場の大きさに思いを馳せながら、果たして参加者が来るのだろうかという私たちの不安をよそに、当日は、若い世代から年配の方まで30人ほどの参加がありました。

 

 はじめに、参加者の方々の多様な結婚観が飛び交いました。
 他人との生活はストレスもあること、ましてや少子化という社会的問題がある中、子どもをつくるべきという圧力を感じるので結婚はしたくないと語る方、「結婚」=「ゴール」=「よいこと」と社会的に吹き込まれているために、結婚できないことそのものが問題視されてしまう世の中について疑念を投げかける方もいました。
 一方、制度上の結婚の経験が無い方々には,結婚生活におけるストレスがあることを踏まえた上で、それを上回る「幸せ」があるはずだから、結婚をしてみたいと語る方がいました。くわえて、制度上の結婚経験がある方からは、自身の経験を子ども世代に押し付けるつもりはないと前置きした上で、結婚という制度は、人々が幸せになる仕組みとして定められており意味があると肯定的に捉えているとの発言がありました。
 他にも、制度上の結婚を何回も繰り返す身内の姿から、結婚そのものに対する"軽さ"を感じる方がいる一方、制度上の契約によって縛る/縛られる関係性に陥り、そこから抜け出すことの難しさを痛感した方もいました。このように、人間関係がもたらす"重さ"や"軽さ"といった感覚を通して、結婚という形態がどのような意味をもたらすのかという観点からも意見が交わされました。
 次に、キャラクター婚や風習婚などの例を引き合いに出しながら、制度として認められていない様々な結婚の形についても吟味していきました。同性婚を反対する人たちがいう「あるべき家族の形を守る」の「あるべき」とは一体何であり、それを決定している主体は誰なのか?重度の障害を抱えた人同士の結婚に周囲がブレーキをかけるといったことを見聞きするが、そもそも制度以前に、周囲の人間が結婚を認めないのは、どういうわけか?同じく、成人年齢の引き下げに伴い女性の結婚年齢が引き上げられたが、こういった事象は、結婚するには未熟/成熟といった能力や資質が必要であると周囲が見なしているということなのだろうか?他にも、職場内で結婚について尋ねるのは、今では"ハラスメント"になりうるという事態を、どう考えたらよいのか?もし、日本社会において多様な結婚形態が一般的に認知されるようになったとしたら、自分は、ペット婚という選択肢も視野に入ってくるだろうと語った方もおられました。
 このように、制度上以外の多様な結婚形態について意見を出し合いながら、①制度としての結婚とプライベートにおける結婚②流動的な関係性③結婚する必要性と目的④幸せ⑤制度/イエ⑥結婚の自由化⑦よい/わるいといった価値判断⑧良好である/不全である⑨子ども⑩契約・価値・考えることができる幸せ⑪性別⑫国家⑬ダイナミックといった、結婚について考える上で外せないキーワードを出したところで、本日は終了となりました。

 次回は、今回出されたこれらのキーワードをさらに探求すべく対話を続けてまいります。
 最後に...ある参加者の方々より、そもそも"結婚"について考えられる状況にあること自体が"幸せ"なのではないかという意見が出されました。仕事に就き収入を得るなど、結婚という話題が視野に入ってくるためには、自己肯定感を含むある一定の水準(または余裕)を必要とするのではないのか。彼らのこの発言は、そもそも"結婚"という問題を話題にすることができる今の自分自身の状態への問い直しを迫るものであり、日本という社会で生きていくことの難しさの一端をも感じさせるものでした。
 ご参加下さった皆様、協働事業として多大なるご協力いただきました♀×♀お茶っこ飲み会・仙台の皆様、誠に有難うございました。この続きは、813日に、同じくせんだいメディアテークで行います。皆様のご参加をお待ちしております。




(文責 てつがくカフェ@せんだい)

//


P1200957_軽.jpg

グラフィック.jpg


x facebook Youtube