報告 2023年07月23日更新

【レポート】第85回てつがくカフェ(オンライン)


【開催概要】

85回てつがくカフェ@せんだい

日時:2023年7月16日(日)14:00-16:30

会場:zoomを使用したオンラインでの開催

ファシリテーター:島田健司(てつがくカフェ@せんだい)

ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)、丹治圭蔵



 

 今回のてつがくカフェは「会って話すことの意味」というテーマで行いました。新型コロナウイルス感染症5類移行に伴い外出制限も解除され、日常の新たな変化にも慣れつつあるいま、私たちは「会って話すことの意味」を改めてどう考えるか。コロナ禍で経験した事柄を振り返った後、参加者が思い浮かんだことを自由に話してもらいました。
 対話のステップでは、対面で話すことの意義について、「対面で話すと相手に気を許せる」「言葉以外(視線や表情、雰囲気など)で情報をキャッチできる」「記憶に残りやすい」「空間や体験を共有できる」などの意見がありました。一方で、会って話すことのマイナスの側面として、「対面は場の空気に流されやすい」「会って話すことは苦手で難しく感じるときがある」などの意見も出ました。さらに「会って話す関係になるにはまず友達にならなければいけないから、それは特殊能力が必要なのではないか」という意見もありました。
 また、オンラインで話すことについては、「対面よりも話しやすい」「簡単につながりやすい、簡単にきれてしまう」「情報の共有や伝達に優れている」などの意見が出ました。一方で、オンラインでは言葉以外の情報がキャッチしにくいと感じている方もいるようでした。
 また、話すことを考えるにつれて、人間とロボットの会話はどう考えられるのか、話すことは言語として表現されなくても成り立つかもしれないなど話題が広がっていきました。
 これらの対話内容を踏まえて、今回「会って話すこと」を考えるうえで「キーワード」となりそうな言葉を挙げていきました。挙げられたキーワードは以下のとおりでした。

 

・「会いたい」

・「会うのは面倒くさい」

・「触れることができる」

・「出会う(遭遇する)」

・「空間」

・「共有」

・「言葉のもつ意味」

・「対面とオンライン」

・「他者を知ること」と「自分を知ること」

・「生身で話すこと」

 

 その後、キーワードの意味を吟味したり似たものをまとめてみたりする時間をとりました。会うことには「会いたい」と「会うのが面倒くさい」という両面性がある、「空間」「言葉」と「共有」の間には強い関連がありそうだという意見が出ました。また受け取れる情報や印象などから対面は「三次元的」、オンラインは「二次元的」とも表現できるのではないか。オンラインと比べて対面は受け取る情報の量が多く記憶に残る反面、互いに負担がかかる場合があるという意見が出ました。さらに対面で話すことに限らず、オンライン(今回のてつがくカフェ)でも「出会うこと」ができているかもしれないという意見も出ました。

 最後に、今回の対話を踏まえて参加者に「会って話すこと(の意味)」という題目で定義「会って話すこと(の意味)とは       である」を考えてもらいました。

 

・遭遇して共有すること

・会って話すこと以外の何物でもない(それ自体に意味がある)もの

・感覚や感情が動くこと

・相手を感じること

・五感によって他者を知るイベント

・より深い社会を作っていく行為

・ (良くも悪くも)強い感情を受け取ること

・「会いたい」「○○したい」という気持ちがあるコミュニケーション

 

 最後の定義では、キーワードの抽出で取り上げられた「出会い(遭遇すること)」や「触れること」ことと関連づけられることが多かったように思います。言い換えると、「会って話すこと」は、偶然や感情との相関が強く、場面や気持ちの共有の要素が大きい営みであるということが感じられた回となりました。

 

 

(文責:てつがくカフェ@せんだい)


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