2023
03 02
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仙台市民図書館開館
報告 2026年02月27日更新
【レポート】第97回てつがくカフェ
【開催概要】
てつがくカフェ 「いま、あらためて結婚の定義について考える」
日時:2026年2月14日(日)14:00−17:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオb
ファシリテーター:辻明典(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)![]()
結婚をテーマとするてつがくカフェは、メディアテーク内で活動中の「結婚の定義」※に取り組む「♀×♀お茶っこ飲み会・仙台」さんとの協働企画で、2年ぶりに開催しました。
同会のこれまでにわたる活動の記録をまとめた冊子『結婚の定義』が配布され、参加者はそれを手がかりに、3時間の対話を行いました。
まずは冊子を参照しながら自由に意見を挙げていきました。
はじめに、結婚は子育てやケア、相続などの社会システムを維持するための「公的な制度」であるという意見が出されました。一方で、それは個人のつながりという「私的なもの」でもあり、現代ではその両者がグラデーションのように混ざり合った「ふわっとしたもの」であるという意見が出されました。
さらに生活の実態と制度の乖離について対話が発展しました。別居婚や離婚の経験を通じ、一緒に暮らすという「生活」が私的なものであるのに対し、婚姻届という「名前」がつくことで初めて公的な保護(病気の面会など)が得られるという、制度の利便性と不自由さが指摘されました。
結婚の動機についても、誰かがいなくなることへの「寂しさ」や、独占欲、あるいは「良い年だから」という社会通念(見えないルール)が人を結婚へと向かわせ、秩序の中に閉じ込める側面があるのではないかという意見も出されました。
また、「恋愛感情」や肉体的な生々しさが、対話の中では中盤までほとんど語られませんでした。結婚をめぐる対話では、「社会的な承認」や「契約」としての側面が前景化しやすいのではないか、という指摘がなされました。
かつては家の存続のため女性を制度の中に縛り付ける側面をもっていた結婚が、現代では個人の自由や同意が大切にされるものへと多様化してきています。
しかしその一方で、愛や祝い事といった言葉に包み隠されるかたちで、家庭内の支配や差別が見えにくくなっているのではないかという、構造的な問題についても鋭い意見が出されました。
これらの対話内容を踏まえて、「結婚の定義」を考える上でキーワードとなりそうな言葉を挙げていきました。挙げられたキーワードは以下の通りです。
・私的/公的
・制度以前
・長期的関係
・法益⇔法害
・心/意思
・契約
・社会
キーワードを出しながら、さらに考えを深めていきました。
「心」と「契約」の関係性については、移ろいやすく不確かな「心」を繋ぎ止めるための装置として「契約」が存在するのではないかという考察がなされました。
しかし、婚姻届という制度が国家による個人の絡め取りを生んでいる側面もあり、心は契約で縛り切れるものではないという葛藤も示されました。
また、「意思」という言葉については、純粋に個人的な意思は存在せず、そこには常に社会的な要素や制度の損得が混じり合っているのではないかという意見も出されました。
最後にここまでの対話を踏まえて「結婚の定義」をより深く考えるための問いを考えてもらいました。
・なぜ結婚するという意思が特別に社会とつながるのか
・意思の中に混じり合っているものは何か
・私的な結婚の見方と社会的な結婚がなぜずれるのか
・各自の心をつぶさない弱い結婚の定義は可能か
これらの問いを出したところで時間終了となりました。
今回は、プロジェクトの集大成として、結婚という概念にまとわりつく「公」と「私」の境界線を解きほぐすような熱量の高い3時間となりました。
今回の対話で生まれた問いを日常に持ち帰り、引き続き考え続けていければと思います。
※「♀×♀お茶っこ飲み会・仙台」がせんだいメディアテークと協働で2022年より取り組んできたプロジェクト、メディアスタディーズ「結婚の定義」は、2026年3月をもって終了しました。
(文責:てつがくカフェ@せんだい)