コラム 2023年03月23日更新

行ってみた:沖縄アーカイブ研究所による「復帰50年特別企画 OKINAWAあの日の大博覧会―懐かしの映像と写真で遊ぶ―EXPO2023」


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今回は沖縄に行ってきました。

 

まず話を伺ったのは、沖縄アーカイブ研究所の代表・真喜屋力(まきや・つとむ)さん。主な活動として8ミリフィルムの収集、デジタル化、保管、活用に取り組んでいます。収集されるフィルムは県民の方から寄せられるものがほとんどですが、沖縄に関連する内容に限らず、どんな映像でも受け入れているそうです。
デジタル化された映像資料の一部は沖縄アーカイブ研究所のウェブサイトで公開されていて(ページの更新頻度からも相当数のフィルムを収集し、公開処理までこなされていることがわかります)、記事のコメント欄には閲覧者から映像に関する新しい情報が書き込まれることもあるそうです。

活用面では、県内地域を中心に収集した映像の上映会を開催しています。さらに、沖縄テレビ放送では毎月沖縄の8ミリ映像を紹介しているとのこと(沖縄テレビ放送:https://www.otv.co.jp/nsp_okiarchive/)アーカイブ映像が定期的に民放に流れることで、映像資料が継続的に利活用されると同時に多くの県民の目に触れ、放送された映像に関する新たな情報が寄せられることもあるそう。
収集した資料のなかには来歴不明、撮影者不明といった、いわゆる孤児フィルムも少なくありません。その場合は映像に映る風景や建物を手がかりに情報を集めるそうで、著作者にたどり着いたと思ったら公開許諾がおりず、映像資料がお蔵入りすることもしばしばあるとのこと。

 

ところで、今回取材のために待ち合わせた場所は、那覇市内にある「那覇文化芸術劇場なはーと」。2021年に開館したばかりのこの施設では、舞台公演やクラシック音楽の鑑賞はもちろん、県内外のアーティストとの協働型プロジェクトや市民参加の場をつくるイベントなど、地域文化の創造・発信を理念に事業を展開しています。なはーと内のスタジオで開催していた沖縄県本土復帰50年の企画「復帰50年特別企画 OKINAWAあの日の大博覧会―懐かしの映像と写真で遊ぶ―EXPO 2023」(会期:2023114日〜24日)の見学も今回の取材目的のひとつでした。この博覧会はなはーと(・・・・)と沖縄アーカイブ研究所による共同企画。真喜屋さんに解説してもらいながら会場をじっくり観てまわりました。展示された映像は195070年ごろを中心に、沖縄のホームムービーや、今は途絶えてしまった村での伝統行事や儀式の様子、大工職人による作業記録など。そういった8ミリフィルム映像がモニターにいくつも流れる一方で、フィルム素材の説明や映像画面サイズの変遷についてのパネル、実際に使用された三眼フィルムカメラなどのアンティークともいえる撮影機材も並んでいました。
ほかにはアニメーションの原型・ゾエトロープを体験できたり、沖縄県内のランドマークのスタンプが押せたり、付箋にメッセージや場所の思い出を書いて那覇市パノラマ写真に貼れたりと、来場者が参加できるスペースも用意されており制作側の遊び心が伝わります。

会場の中心にある大きなスクリーンには、すこしちがう雰囲気の映像が流れていました。「『あの日』から『この日』へ生まれ変わる」プログラムとして、県内の若手映像作家・木村あさぎさんと宮城孝広さんによって昔の8ミリフィルム映像を素材に新たに作られた作品です。
収集したフィルム映像は積極的に活用していきたい、と話す真喜屋さん自身も映画監督であり、フィルム映像の魅力や当時写された内容の面白さに惹きつけられた一人。より多くの活用を促進する意図でも、全国で活動するコミュニティ・アーカイブの関係者が一堂に会して情報交換ができないか、とお話ししていました。

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沖縄アーカイブ研究所:https://okinawa-archives-labo.com/

那覇文化芸術劇場なはーと:https://www.nahart.jp/

「復帰50年特別企画 OKINAWAあの日の大博覧会―懐かしの映像と写真で遊ぶ―EXPO 2023」:https://www.nahart.jp/stage/1669946183/

 

 

北 友花(せんだいメディアテーク企画・活動支援室)


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