コラム 2024年05月07日更新

会員寄稿文「わたしにとってのドキュメンタリー」Vol.5 佐藤真紀


ドキュメンタリー 佐藤真紀さん.jpg

※この企画は、みやぎシネマクラドルの活動をより理解していただくことを目的に、「わたしにとってのドキュメンタリー」をテーマに会員が自由に文章を書く企画です。

 

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 独身の頃、映画音楽を作ってみたいなぁと思っていました。でも近くに映画を作っている人がいなくて、自分で映画を作れば、音楽をつける事ができるんじゃないかと思うようになりました。その後、結婚、出産、子育て、介護と自分の夢など考える暇など無く、ただただ時間が過ぎていきました。 

 そして、生活が一段落した頃、友人から「昔、映画作りたいって言ってたよね。明日、イベントがあるから行かない?」と誘われて行ったのが、みやぎシネマクラドルでした。 

 そのときに観たのは宍戸大裕監督の『百葉の栞 さやま園の日日』でした。テレビで観るドキュメンタリーとは違い、そこで生活をしている人々に寄り添うような、自分がそこに居合わせているような、ゆっくりと確かな営みが写されていました。 

 このみやぎシネマクラドルと出会い、次に代表の我妻和樹さんや宍戸大裕さんが関わっていた「吉岡宿にしぴりかの映画祭」と出会うことになります。ここで宍戸さんが映像制作ワークショップをやるというので、映画を作ってみたかった私はすぐに参加をして映画祭の実行委員にもなりました。この映画祭に関わることで、たくさんの素晴らしいドキュメンタリー映画にも出会うことになったのです。 

 私にとってのドキュメンタリーは圧倒的に「人」の魅力です。人にしか興味が無いと言ってもいいくらいです。その人の生き方、ものの考え方、表情から窺い知るその人そのものが映像となって現れてくるときに心が動くように思います。もちろん、フィクションの映画でもそういうことはありますが、ドキュメンタリーの方がダイレクトに感じるように思います。 

 ドキュメンタリー映画というと、問題意識を突き付けられたり、目を背けていることからの罪悪感だったり、観た後に心が重くなったり、など敬遠される方もいるかもしれません。でも、知らない事を知る喜び、驚き、悲しみ、痛み、などは観る人の世界を何倍にも広げる事ができる、そして鏡となって、自分自身に還っていく、ドキュメンタリーにはそんな力があるように思います。もっともっと、観てもらいたいです。 

 

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佐藤真紀(さとう・まき) 

主婦。宮城県仙台市出身。 
ピアノ講師を経て、農業サポーターとして働く(2024年まで)。 
50歳から映像作りを始め、「吉岡宿にしぴりかの映画祭」映像制作ワークショップにて、ショートムービー『マサさん』(2017)『光の時間』(2018)『朝採り枝豆』(2019)を制作、自身で音楽も担当 
我妻和樹監督の『千古里の空とマドレーヌ』(2021)で音楽を担当
長編『ササキショーイチ ドキュメンタリーA面B面』を制作中。


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