2023
03 02
メディアテーク開館
仙台市民図書館開館
イベント 2025年06月15日更新
8/9-10開催「ドキュメンタリーが開く世界」(10周年上映会)のお知らせ
2015年の立ち上げ以来、せんだいメディアテークを拠点に映像を通して対話の場を作り続けてきた当会が、今年で活動10周年を迎えます。会には地元ゆかりのドキュメンタリーの作り手が多く在籍し、それぞれがこの10年の間に故郷や震災、あるいはさまざまな社会課題や多様な人の生き方といった独自のテーマと向き合いながら作品制作を続けてきました。
わたしたちは、そうした作り手たちの作品を鑑賞しながら、この社会やわたしたち自身のこと、そして表現のあり方についてともに考える「映像サロン」を運営することを活動の大きな柱としています。その対話と学び合いの姿勢は、映像メディアがどんどん多様化し、それを扱う人の意識もより問われるであろうこれからの時代において、変わらず貫きたい会の存在意義とも言えます。
そしてこのたびの10周年に当たり、普段は個々に活動している作り手たちが一堂に作品を発表することで、ご参加のみなさまと語り合う機会を設けます。それぞれがこの世界との関わりの中から発見した「確かな手触りを持つもの」を共有することで、今この時代にドキュメンタリーを作ることの意義と、映像を通してより良く生きるための方法をともに考える機会となれば幸いです。
*各回、上映15分前に開場予定
*各回上映後、監督によるトークがあります
※関連企画あり
●プログラム1日目
「宮城の方々とともに震災10年という時間について考えたい」という思いの元に当会が制作したオムニバス映画。岩手が舞台の村上浩康『冬歩き』、福島が舞台の山田徹『あいまいな喪失』、宮城が舞台の我妻和樹『微力は無力ではない~ある災害ボランティアの記録』・海子揮一『海と石灰~仮設カフェをつくる~』の4作品からなる。
(2021/80分/監督:村上浩康、山田徹、我妻和樹、海子揮一)
長年障害や難病とともに生きる人びとの日常を描いてきた宍戸大裕の作品。徐々に全身の筋肉や呼吸機能が失われていく難病・ALS当事者の葛藤や当事者同士の心の繋がり、周囲の人びととともに生に向かって歩む姿を3年半に亘って記録。絶望と喪失の中、何が人を明日へといざなうのか。その根源的な問いと向き合う。
(2024/124分/監督:宍戸大裕)
宍戸 大裕(ししど・だいすけ)
映像作家、仙台市出身。劇場公開作に、東日本大震災で被災した動物と人びとを見つめた『犬と猫と人間と2 動物たちの大震災』(2013年)、障害のある人たちの日々を描いた『風は生きよという』(2016年)、『道草』(2019年)がある。2025年2月から『杳かなる』を公開中。クマと人のかかわりを描く映画制作のため、東京と岩手の2拠点生活を送る。
*聴覚障害や視覚障害がある方でも鑑賞していただけるよう「バリアフリー字幕」と「音声ガイド」つきの上映となります。監督トークには手話通訳があります。
長年テレビでドキュメンタリーを作り続けてきた小原啓が近年自主制作した4つの作品を上映。市井の人びとにカメラを向け続ける背景にはどのような思いがあるのか。テレビでの仕事も振り返りながら、宮城での映像制作にかける思いや現在の活動を聞く。
『炭とダイヤモンド』(2019/21分/監督:小原啓)
『ブルーインパルスに魅せられた男 航空写真家 黒澤英介』(2020/17分/監督:小原啓)
『ブルーインパルスとともに大空へ 航空写真家 粒木友香里』(2021/12分/監督:小原啓)
『仙台最後の屋台 のれんを下ろす日』(2022/22分/監督:小原啓)小原 啓(おはら・さとる)
映像クリエイター、高知県生まれ。報道カメラマンを経てテレビディレクターに転身。二十数年に渡り情報番組やドキュメンタリー制作に携わる。代表作に遠洋マグロ船に単独乗船取材した『追跡!ニッポンのマグロ』など。2018年よりフリー。Motion Frame代表。
<関連企画>
映像サロン番外編 「地方に映像コミュニティを作るということ」18:40―20:00
会場:7階スタジオb
普段の「映像サロン」の雰囲気で、会員それぞれにシネマクラドルに参加しての思い出や、映像を通して繋がり支え合うコミュニティを地方に作ることの意義について語ってもらいます。また、これから地元でどのようなことができるのかをみなさんと考えます。是非ご参加ください。
●プログラム2日目
東日本大震災前から宮城県南三陸町波伝谷(はでんや)で漁村の暮らしを撮り続けた我妻和樹。原発事故に揺れる福島県新地町で漁業者たちの苦悩を撮り続けた山田徹。宮城県石巻市大川出身で、震災による喪失を経験しながら映画を制作した佐藤そのみ。3人の作品を通して、被災した土地の営みとそこに生きる人びとの思いについて考える。
『波伝谷(はでんや)に生きる人びと』(ショートバージョン)(2012/32分/監督:我妻和樹)
『新地町の漁師たち』(ダイジェスト版)(2016/10分/監督:山田徹)
『あなたの瞳に話せたら』(2019/29分/監督:佐藤そのみ)
我妻 和樹(あがつま・かずき)
1985年宮城県白石市出身。主な作品に、南三陸町を舞台にした長編ドキュメンタリー映画『波伝谷に生きる人びと』『願いと揺らぎ』『千古里の空とマドレーヌ』など。みやぎシネマクラドルでは2015年の立ち上げから代表を務める。令和3年度宮城県芸術選奨新人賞(メディア芸術部門)受賞。
山田 徹(やまだ・とおる)
東京出身。原発事故が発生した2011年3月以降、福島をフィールドに映像制作を行なっている。監督作に『新地町の漁師たち』(2016)、『あいまいな喪失』(オムニバス映画 『10年後のまなざし』)の1本、2021)がある。
佐藤 そのみ(さとう・そのみ)
1996年宮城県石巻市生まれ。2015年日本大学芸術学部映画学科に入学。在学中の2019年、故郷の石巻市大川地区で『春をかさねて』と『あなたの瞳に話せたら』を自主制作。2024年、2作が劇場公開される。新作に『スリーピング・スワン』(ndjc2024作品)がある。
末期癌の父親が在宅介護で息を引き取る過程とそれを看取る母親の姿を、息子である村上浩康が記録した作品。身近な家族でさえも死に立ち会うことが難しい今の時代に、人間の命が消えゆく過程とそれを見送る家族、さらには在宅医療・介護職の人びととの交流を描いた本作を通して、「死」とは、「生」とは何かを考える。
(2024/95分/監督:村上浩康)村上 浩康(むらかみ・ひろやす)
宮城県仙台市出身。2000年よりドキュメンタリー映画の製作・監督を続けている。主な作品に『流 ながれ』(文部科学大臣賞)『東京干潟』(新藤兼人賞金賞)『蟹の惑星』(文化庁優秀映画)『たまねこ、たまびと』(2023キネマ旬報文化映画ベストテン第3位)など。新作『あなたのおみとり』を2024年9月より全国劇場公開。
パンデミック拡大を防ぐため全国一斉休校となった2020年3月、子どもたちを受け入れようと山間の古民家で手作りの学校が生まれた。その「かんぷうざわ学級」の取り組みを海子揮一が描いた作品。学びとは、生とは何か...。人や自然と関わりあう人びとの姿を通して、リスク管理と自粛の空気に支配された私たちの社会を今こそ問い直す。
(2025/60分/監督:海子揮一)海子 揮一(かいこ・きいち)
1970年宮城県出身。建築家/ブリコルール/クリエーター。大陸放浪の後に建築設計事務所を開設。自然と人との関わりを主題に、建築のほか映像制作、アートイベント企画、クラフト製作など多面的に活動している。自然に近い暮らしと創作環境を求めて、2018年から仙台に隣接する山中にある「寒風沢(かんぷうざわ)の家」にアトリエを置く。
ゲスト:山内明美
今回、作品を発表した作り手たちにとって、ドキュメンタリーを作る動機やその魅力・可能性とは一体何なのでしょうか?また撮影対象や社会や表現と向き合う上で大切なこととは?改めて言葉にすることで、映像メディアが進化し、情報が飽和しているこの時代にドキュメンタリーを作ることの意義について考えます。
山内 明美(やまうち・あけみ)
南三陸町出身。宮城教育大学教員。専攻は歴史社会学、社会思想史。著書に『増補版 こども東北学』、『痛みの〈東北〉論』などがある。
<関連企画> 会場:7階スタジオb
みやぎシネマクラドルの会員が制作した映像を8/9・10(10:00―18:00)の間上映しています。
・高砂市民センターでの「平日フェス」の記録映像
・小原啓が制作した宮城の風景動画
・岡部誠が制作したアニメーション
など。
是非お気軽にお立ち寄りください。
問い合わせ先:
電話:080-2773-0181(砂子)
メール:m.cinemacradle@gmail.com(我妻)
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