報告 2019年03月20日更新

第7回 どこコレ?ーおしえてください昭和のセンダイ レポート


収集した写真に写っている「コレ」は「どこ」なのかを来場者のみなさんにおたずねし、写真の情報を確定させていくプロジェクト「どこコレ?」の第7回目となる展示が、2018年4月29日~6月17日の約2カ月間、開催されました(参考: https://www.smt.jp/projects/doko/2018/04/4-2.html)。 「どこコレ?」は、展示としては7回目(語る場は6回目)となりますが、回を重ねるごとに来場者が増え、「今年もはじまったね」「また来たよ」とお声がけいただいたり、毎年来てくれる常連さんも増え、認知度が上がっていることを実感します。 撮影場所を特定することで写真に資料的価値を付加するということが「どこコレ?」のひとつの目標ではありますが、記憶を辿り、記憶を話していただくという想い出発火装置的な役割も託したいという思いもありますので、楽しみに来場される方々がいるのは大いに励みになります。 今回新たに展示した写真として、仙台駅東口界隈の写真を多く選びました。 東口は再開発によりここ10年で大きく姿を変えました。今から見ると全く違うまちのように見えますが、当時を覚えている方も多く、開催初日に多くの「確定」がつきました。同時に、その記憶をいきいきとお話ししてくれた方が多かったのが印象的でした。


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会期初日の4月29日15時45分からは、関連企画として「考えるテーブル」を開催。会場には約43名の方にご来場いただきました。


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まずは、「どこコレ?」が始まった経緯や仕組み・ルールを紹介し、前回までに場所が確定した写真、その写真から読み取れるもの、来場者から寄せられた情報、そしてどのようなプロセスで確定されていったのか、などを紹介しました。 懐かしさを感じるだけではない「どこコレ?」の仕組みを使った実例として、大学生の企画「ときをかける仙台」というイベントを紹介しました。これは大学生自身が、自分たち世代が仙台というまちに愛着がないのは過去と断絶しているからだと解釈し、時代を繋ぐ手段として「どこコレ?」で展示された昭和時代の写真をもとに、学生たちが現在の場所を推測して写真を撮ってくるというイベントでした。 また、地域アーカイブの活用として、新宿四谷図書館や熊本森都心プラザ図書館でも「どこコレ?」の活用が拡がっていることを紹介しました。 「考えるテーブル」では、当時駅裏と呼ばれた駅東口の宮城第一病院の写真や、X橋アエル付近の写真、昭和14年に撮影された連坊小路の写真などを紹介すると、会場からは、当時を知っている方、お近くに住んでいた方の思い出話も飛び出し、終始和やかな場となりました。


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平成3年7月15日撮影(提供/髙野正義さん 所蔵/風の時編集部)





次に、4年間にわたりなかなか「確定」できない写真を紹介し、会場のみなさんと一緒に考えました。


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昭和10年12月撮影(所蔵/仙台市博物館)



付箋に書かれた情報をもとに会場の方たちからも記憶の中のお話が寄せられました。影の向きや地図とも合わせて見ましたが、残念ながらこちらはまだ未確定で次回「どこコレ?」に継続しました。



最後に、昭和30年頃に撮影された広瀬川に架かる木橋の写真について話し合いました。


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昭和30年撮影(提供/安藤哲朗さん 所蔵/風の時編集部))



確定に至った理由は、「どこコレ?を愉しむための五箇条」のうち、「日影で方角を読むべし」「地図と合わせて街並みを見るべし」「先輩の話をじっくり聞くべし」の3つ。 仙台の街中の広瀬川に架かる橋は9つあり、そのうち、手前に影が出来る、つまり奥が南の方角で、右側に大きくカーブする川と位置関係があう橋は評定河原橋のみ。当時のことを知る方々の証言も加わり、「評定河原橋」で確定となりました。



今後も「どこコレ?」は、せんだいメディアテークを会場に1年に1回のペースで今後も継続して開催していく予定です。またぜひ会場にお越しいただき、みなさんの懐かしい思い出を私たちにお聞かせください。 今年、東京と熊本でも同時開催となった「どこコレ?」ですが、企画当初に夢のように話していたことがこうして形になったこと、とてもうれしく思っています!写真さえあれば、全国どこでも開催できるイベントです。これを機に、全国にますます「どこコレ?」の輪が広がることを期待しています。


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