報告 2014年01月26日更新

第2回ヤングファーマー農宴「災害と農業」レポート


【開催概要】
日時:2014 年 1 月 26 日(日)15:00-17:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
(参考:https://www.smt.jp/projects/nouen/2014/01/2-5.html


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2014年1月最後の日曜日。宮城県内の若手農家団体4HCのメンバーがホストとなり、参加者の皆さんと農業のことについてお互いの考えや意見交換をし、明日の食と農業について考えていこうという企画。ヤングファーマー農宴~おらとあんだとくいもんと~の第2回が開催されました!今回のテーマは『災害と農業』です。

ゲストヤングファーマーは前回に引き続き参加していただいた蔵王町の関口英樹さん、そして南三陸町からはるばるお越しいただいた高橋浩幸さんです。

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(左:蔵王町の関口英樹さん、右:南三陸町の高橋浩幸さん)

テーマに設けた『災害と農業』のほかに、我々4HCの中で実はもう一つのテーマがありました。それは前回の課題点をしっかりと修正し、よりよいイベントの運営を行うという事。

去る、第1回では初めてという事もあり、我々が思い描いていた内容を展開することができなかったため、大変悔しい思いをしました。その経験を糧に今度はしっかりと参加者の皆様と有意義で実りある時間を共有するぞという意志に燃えていました!

そして、しっかりと準備をして臨んだ第2回当日。

皆さん早めにスタジオ入りをして少しでも時間に余裕を作り、第1回でできなかった、お互いの役割分担の確認や、会場にお越しになったお客様のおもてなしもすることができました。(やっぱり遅刻はいけませんね)

メディアテークのスタッフさんいわくにチラシの減りが早いとの報告を受けていたので、お客さんの入りに期待していましたが、開始時間近くなってもなかなか人が来ず、

『あぁ~お客さん全然来なかったらどうすべぇ~』と内心ドキドキしていましたが、

開始寸前でどどどーっとお客さんがいらしてくれて、あっという間にほぼ満席。

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今回は、ありがたいことに前回からのリピーターの方や、友人、知人も家族連れでいらしてくれました。本当にうれしかったです。気づいたら、前回を大幅に上回る50人以上のお客さんが第2回のヤングファーマー農宴にご参加くださいました。

そんなこんなで始まりました第2回『災害と農業』

ゲストヤングファーマーの関口さんに司会も兼任していただき、私はイベントの進行がスムーズに運ぶようにタイムキーパー兼フロアディレクター的な立ち位置でイベントに臨みました。

今回話した内容は、災害というところで先の東日本大震災の事を軸に大きく分けて3つ

震災当時を振り返る

ここで、南三陸町で被災した高橋さんのお話や、参加者からの体験談などもお伺いし、沿岸部や、都市部などの当時の様子を振り返りました。

特に南三陸で津波の被害にあった高橋さんの語り口は、まるで昔話の語り部のように耳にすぅーっっと入っていき、大変な被災体験に耳を傾ける時間であったにもかかわらず、会場全体が和やかな雰囲気に包まれたのは不思議な体験でした。

次に

今ならどう対処するか?

といった話に進んでいき、参加者の方々と意見を交わしました。

食料の備蓄や、近隣との日常的な関係づくり、水の手に入る場所の確認など、さまざまな意見やアイデが会場のみなさんから出されました。

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それらをうけて、最後の

ヤングファーマーと考える「備え」について

トッピックに入りました。まず、ドライトマトや、乾燥シイタケなどの乾物、野菜の塩漬けやぬか漬けなどの漬物。こういった保存食を仕込み、家のなかで食べるのではなく、屋外で近隣の人と分け合って食べてみることの体験を子ども逹が重ねていくと、数年後にはその子たちが大人になり、災害時になんらか対処できる人たちのいる地域になるはだ、といった話や日ごろから地域の井戸の場所などを歩いて確認することの必要性などを話しました。そしてゲストを含めたヤングファーマーからは震災時の農家の食糧事情についてお話しさせていただきました。

津波の被害は受けなかった農家からは、農家の場合、大きな冷蔵施設を所有し、食糧をストックしていることが多く、震災後で停電になったので冷凍保存していた食料を優先的に食べたり、知り合いの農家からおすそ分けやお互いに食べ物を交換したりと、食べることに関してはあまり困らなかったことや、流通がとまり、野菜が発送できなくなっていたけれど、廃棄するのももったいないので、近隣の避難所に野菜を配りに行ったが、放射能の影響を心配して拒否されたこともあったという話、そしてハウスや畑に食料がいっぱいあるのにみんなスーパーに並び、農家のところに直接来る人はなく、誰にも食べられることなく野菜を廃棄せざるをえなかったといった話を聞きました。

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そこで、ゲストの関口さんが提案したのは、日ごろからかかりつけの医者などがあるように地域で「かかりつけの農家」という考えがあってもいいのではないかといったことでした。たしかに今回、都市部で日ごろ生産者とかかわりのない生活をしている方々と、ヤングファーマー農宴というイベントを通じて、お互いが知り合い、有事に助け合える関係・環境を作ることができたら、それはとてもステキなことだなぁと感じました。そのためには、私たち農家もこのように都市部に出てきてみなさんと話しをし、どうすればそういった関係性を本当につくることができるのかひきつづき考えていきたいと思います。また、みなさんからも今回のように農家とはちがった視点からのアイデアを頂き一つずつ形にしていきたいとも思います。

こうして、みなさんの暖かい拍手に包まれて、無事に第2回のヤングファーマー農宴は終了しました。ゲストの方々も、2時間人の前に出て話題提供をするのは大変な労力だったと思います。わたしも全体が見えるところでゲストの2人の力になれるように動き、ほかの4HCのメンバーも各テーブルでの話題提供やマイク回しなどの役割をこなし会場全体の雰囲気のをよくするよう動いてくれました。そしてメディアテークのスタッフさんにも企画段階からさまざな面でサポートしていただきました。

今回我々が思い描いていたイメージに近いイベントができたのは、4HCメンバー全員のよりよいものを提供したいという、生産者にもっとも必要な心持ちが十分に発揮できたからではないかと思います。また、会場でたくさんの視点、話題を提供くださり2時間をともにつくってくださった参加者のみなさんにも大感謝です。

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(イベント終了後も、会場で談笑するヤングファーマーとお客さん)

次回は2月の15日(土)テーマは『TPPと農業』です。

次回も参加者の皆様と有意義で実りある時間を過ごせるよう頑張ります!

スタッフみんなでしっかり準備して皆様のお越しをお待ちしております。

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(次回の準備をするメンバー)

報告:大槻雄一郎(ヤングファーマー農宴)





*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=5304#report


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