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インタビュー 2018年10月29日更新
アドバイザー・五十嵐太郎さんインタビュー(3)
その人がだんだんこう、人の中に溶けていくっていうか、入っていくあの感じが亡霊っぽいっていうか、おもしろいなと思って。
ちば:この間、なんだっけ、門傳さんに「どういう風にスローウォークを撮ると良いかなあ」って話をしたら、スローウォークで歩いている人を普通の速さにして...
五十嵐:そうだよね。
ちば:そうすると、周りを歩いている人が速く映るんですけど、それ良いんじゃない?って。
五十嵐:うん。スローウォークを普通の速さにしたら、街の人は超高速になるよね。
ちば:S-memeのときの動画もおもしろかったですよね。
五十嵐:S-memeって動画撮ってたっけ?僕あまり記憶にないな。
ちば:ホントですか。あれ、S-meme のときのじゃないのかな...
白鳥:椚座さんが撮った...
五十嵐:あ、椚座が撮ったんだ。
ちば:あまりにゆっくり歩きすぎているから、その人じゃないところにフォーカスが当たって、でもときどきスローウォークしている人を見て、とか。その人がだんだんこう、人の中に溶けていくっていうか、入っていくあの感じが亡霊っぽいっていうか、おもしろいなと思って。
白鳥:人の量を設定するか、それこそ仕込みで撮影してみるとわかりやすい映像が撮れるかもしれない。
ちば:いっぱい撮りためていくと、仙台っていう街を紹介することにもなるだろうし、なんか海岸とかも良いんじゃない?って、この前門傳さんに言われて。
五十嵐:階段?あ、海岸ねえ 。
ちば:砂浜とか、めっちゃ大変そうって思いながら、あ、でも良いかもねって、やったことないとこ行くさ~って。
五十嵐:篠原さんも、なんか 5~6 時間やったときは、アーケード街を抜けて、最後は川辺だとかって言ってた気が。
白鳥:あ、そうなんですね。
ちば:うちらが聞いたのは、駅の一番近いアーケードから酒飲んで入って行って国分町をとりあえず目指すって。
五十嵐:あ、国分町かあ。
ちば:10時から15時とか、で。国分町で疲れ果て家に帰るんです、って。
五十嵐:そっかあ。
ちば:なんかスローウォークみたいなので、ないんですかね。なんていうんだろ、圧倒的な感じの...
五十嵐:笑。
白鳥:笑。
まあ、でもスローウォークの手引きみたいな冊子つくったら良いんじゃないですか。
五十嵐:あの、そういえば慶応のSFCのデザイン系の、石川初研のゼミの成果物で、オリンピックをテーマにしたデザインがあって、マラソン、42.195キロでしたっけ?あの長さを実感するのに、違うものに変換するっていうので、鉛筆って全部書くと 50 キロぐらいあるらしいんですよ、あれ。
ちば:えぇー!?
五十嵐:で、そうするとここまで使うと21.何キロとか、全部いかないこの辺で 42.195 キロって印をつけてっていうデザインの提案があって、ただデザインだから提案だけなんですよね。でも、アーティストならホントにやるんですよ。地面にずーっと書いて、で削ってまた書いて42キロやってみるっていうのがアーティスト、その人はデザインだから提案して終わったと思うんだけど。
ちば:どんくらいかかるんだろう、マラソンだと2時間ちょっとで終わるけど、ね。
白鳥:一日で終わるのか...
ちば:変な人いっぱいいるなあ...
五十嵐:ただホントにやっていたのもあって、42キロ走ると何キロカロリー使うってあるじゃないですか。それと同一カロリー使うのに、カラオケで何曲歌えば消費するか、って。
白鳥・ちば:笑
五十嵐:2000何曲歌うと同一になるっていうので、実際に、たぶん何回かに分けてだと思うんだけど 2000曲くらいうたって、マラソンと同じカロリー使いました、みたいな、っていうのはやってた。その曲のリストが展示してあった。
五十嵐:まあ、でもスローウォークの手引きみたいな冊子つくったら良いんじゃないですか。ないから。
白鳥:確かに。
ちば:マニュアルね。
白鳥:さっきのみたいに何か違うものに変換してわかりやすくっていうのが。
五十嵐:なんかさ、イモムシだったら時速何キロって調べたらデータあるんじゃないの?
白鳥:今なんか、一応、風と雨と雪とかでちょとやってみていたんですけど。
ちば:イモムシ...笑。
五十嵐:イモムシって、それより速いのか遅いのかわかんないけど。
白鳥:生き物系やってみたいっすね。
五十嵐:それより遅いとやっぱりすごいなってなると思うんだけど。
ちば:すごい、五十嵐さん。おもしろい、
五十嵐:アリはぜったい速いもんね、結構なスピードで歩いてるもんね。
白鳥:さすがに...
ちば:生き物の速さ。
広場だったら立ち止まっていいんだけど、広場じゃないから人が居着いちゃいけない。でもスローウォークは立ち止まってはいないから、そういうのを警察とかがどう判断するのかとかは興味ありますね。
白鳥:五十嵐先生が思う、こういうシュチュエーションで歩くと面白そうとかはありますか?
五十嵐:日本の広場ってなかなかちゃんと定義されていなくて、例えば、都市を代表する広場を並べると、広場じゃないけど、いつも人が動く渋谷のスクランブル交差点とかになっちゃう。60年代くらいだと思うけど、新宿の西口が出来た時、それこそ、最初は広場だったんだけど、フォークの集会とかやっていて。でも結局広場じゃないことにしたんですよね。で、その時の定義というのが立ち止まってはいけない。広場だったら立ち止まっていいんだけど、広場じゃないから人が居着いちゃいけない。でもスローウォークは立ち止まってはいないから、そういうのを警察とかがどう判断するのかとかは興味ありますね。
ちば:日本ってなんで広場の定義がないんですか。
五十嵐:無いっていうか、道路交通法とかで、道っていう風にされちゃうと、厳密には立ち止まってはいけないという風になる。だから、集会して政治運動とかして欲しく無いんでしょうね。
あと、前、フェスティバルトーキョーで、四谷怪談のルートを実際に歩くっていうツアーパフォーマンスがあったんですよ。先にお岩さんのテキストを読んで、レクチャーを聞いてから、各ポイントで解説を聞きながら1時間半くらいかけて歩いて回って、最後はお岩さんの神社に行くんですけど。各場所の建物とかはもちろん変わっているんだけど、地形は変わってないから、雰囲気がなんとなく伝わるんですよ。仙台でもそういうのが可能なのかな。四谷怪談みたいな強力なコンテンツがあればいいけどね。
聞き手:白鳥大樹 千葉里佳