報告 2012年09月22日更新

第3回3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト 公開サロン「みつづける、あの日からの風景」レポート


【開催概要】
日時:2012 年 9 月 22 日(土)14:00-16:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
(参考:https://www.smt.jp/projects/teiten/2012/09/3-11--6.html


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第3回目にあたる9月22日、前回にも増してお客様がご来場くださいました。回を追うごとに参加者の方が増え、それぞれの意見を交換できる、貴重な場となってきたことを実感します。その中で「お役に立つのであれば」と震災時の写真をご持参くださったお客様もいらっしゃいました。

定点観測サロン開始

定点観測のポイントとして、前回まで、「いつ撮るのか」「どこを撮るのか」ということで話し合ってきましたが、今回はひとつ追加させていただいて、「定点観測活動を拡げる工夫」というものをテーマとして挙げました。

今回ゲストで来ていただいた方が、3月12日に撮影した、「落下した評定河原橋の街灯」の写真。

落下した評定河原橋の街灯の写真

この定点観測として、当NPOが後日撮ったものが、こちらの写真。

20世紀アーカイブが撮影した写真

これは街灯が修復されていると思い撮ったものですが、実は場所が違っていて、今でも街灯はまだついていない状態だった。このように、ひとが撮ったものに対して、場所を判断して定点観測していくというのは、本当に難しいことだと実感しました。まして、土地勘のない場所ならなおさらです。


発表の様子

これらを踏まえ、ゲストの方々から出された意見として、「こういう活動をしていることを知っている人間がどんどん広げていくことだと思う。
SNSなどで、前と後と意識して発信していくことが必要では」というお話や、「自分一人で幅広く色んな場所を、というのではなく、定期的に自分の管轄はここ、という形で個々が撮り続けることによって、将来それが全体の記録になる。それをみんなでシェアできるようにするべきだ」、「一人ひとりそれぞれ違う個性を持っているので、その方らしく観測し続けていけたらとてもいいものになるのでは」という意見が出されました。

「記録するというのは定点観測に結びつけるだけではなく、防災にもつながることで、この写真がこうなったということは、逆を返せばこの建物がかつてこうだった、震災でこうなった、というのが分かる。想像力を働かせれば、津波の被害や地震の強さでこういう風になってしまったというのが分かる、というのは、すごく大事なこと。こういう活動を小中学校やワークショップなどでできたらいい」という、今後の広がりについても意見が出されました。
また「震災前の写真が大事だという話があったが、例えば、壊れた建物ばかりでなく、この建物は大丈夫だったとか、ここの風景は地震があっても何も壊れず大丈夫だった、というような記録も大事なのでは。間口をそう広げれば、記録の枠を広げることにもなる」という意見に対しては、当NPOとしてはそういった発想がなかったので、今までとは違った考え方をするための良いヒントをもらったと思っています。


全体の様子

「撮影に行くという張りつめた気持ちではなくて、そこを見に行ってみようとか、散歩するくらいの感覚でカメラを持って、それでちょっと変わってたら変わったところを押さえよう、というような感じでいいかと思う。携帯電話でも構わない」「震災から一年半経つが、これが5年10年経って終わるわけでも恐らくない。長く続かせるコツは無理をしないこと。月に1回でも良いし、または気が向いたときでも良い」というように、今から撮ること、記録することがもう遅いわけではなく、むしろこれからだと考えています。出来れば多くの方々に無理のない範囲での定点観測へのご協力をお願いします。

報告:NPO法人20世紀アーカイブ仙台





*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=1278#report


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