報告 2025年10月05日更新

【レポート】第41回公開ミーティングを行いました


 今回のユースてつがくカフェでは、「苦手なことの乗り越え方」というテーマで対話を始めました。


 ある人は「昔は苦手だったなまものやジェットコースターが、いつの間にか平気になっていた」と話しました。きっかけは「どうにかなる」という態度を身に付けたことです。「どうにかなる」が身に付いてからは、元々人見知りだったけれど初対面の人とも話せるようになった、というエピソードも共有されました。その話題から、「初対面から何日経つと友達になれるのか」についても話しました。


 友達に似た関係を表す言葉には、顔見知り、知り合い、クラスメイト、仲間などがあります。特に「仲間」には共通の目的がある感じがします。小説『夢をかなえるゾウ』の主人公とゾウ(神様ガネーシャ)の関係や、のび太とドラえもん、のび太とジャイアンの関係から、「友達には対等さが必要ではないか」と考える人もいました。「居候」や「書生」のような、昔の小説に出てくる関係も不思議だと話題になりました。


 そこから「先輩や後輩とは友達になれるのか?」という問いが生まれました。先輩や後輩と友達になるには、「関係性の枠を外す行為」が必要そうです。苗字呼びからあだ名呼びに変わったり、秘密を共有したりすることが、関係を変えるきっかけになるのかもという声もあがりました。


 次に「お化け屋敷が流行っている」という話題から、「怖さ」について話しました。お化け屋敷のお化けが偽物だと分かっていても怖いのは、「怖さ」に「びっくり」が含まれているからのようです。ある人は小学校で「七不思議を作った」経験を語ってくれました。なぜ七不思議は小学校が舞台になることが多いのでしょうか。「トイレの花子さんは戦争で亡くなった子供だと聞いたことがある。戦前は中学校や高校が少なかったからでは」という意見もありました。お化けは「昔は人がいたのに、今はいない場所」に出るのかもという見方もありました。例えば廃墟の遊園地では、にぎやかだった当時の人々の声が聞こえてきそうです。


 「怖さとワクワクはほぼイコールでは?」という考えも出ました。未知なものに向かうとき、人は怖さとワクワクを同時に感じるからです。ただし未知なものの正体が分かると、それは「怖さやワクワク」に変わる気がする、という発言もありました。友達になる前の関係にも、「仲良くなれるかな」という怖さやワクワクがあるようです。


 そこから「片想い的な友達はあり得るか」という話題になりました。美人や頭のいい人に憧れて「友達になりたい」と思うことがありますが、そこに対等さはない気もします。また、友達との関係を深めるには「深い話」が必要そうですが、『サザエさん』のカツオと中島のように、深い話をしなくてもスポーツや遊びから友情が生まれることもあります。「仲間」は目的を共有する関係ですが、「友達」は目的が違ったとしても仲が良い、という関係なのではないかという意見もありました。また、友達(friend)と友情(friendship)の違いについての指摘や、一般的な昔話には「友情もの」がないように思えることから「友達」は比較的新しい関係なのでは、という指摘もありました。


 最後に「(鳥や虫は生殖や繁殖のために歌うが)ヒトはなぜ歌うのか」について話しました。では友達と楽しむために歌うことが多そうですが、ひとりで鼻歌を歌うこともあります。テレビで歌は流れても鼻歌は放送されません。鼻歌は歌というよりは「メロディー」であり、自分のために歌うものだからではないかという意見がありました。


 対話が終わって片づけをしていたら、近くの席でテスト勉強をしていた高校生が「すごく面白いお話ですね! 自分も参加してみたいです」と話しかけてくれました。


 ユースてつがくカフェは、10代のみんなが自由に思いや考えを語れる場です。
 ぜひ、気軽に参加してみてくださいね。