報告 2022年06月15日更新

【報告】としょかん・メディアテークによるバリアフリー資料展示


2022年2月4日から8日にかけておこなわれた「第4回障害のある人と芸術文化活動に関する大見本市《きいて、みて、しって、見本市。》」。仙台市民図書館とせんだいメディアテークではバリアフリー資料の展示をおこないました。その様子を紹介します。

日時:2022年2月4日(金)から8日(火)10時から18時
会場:せんだいメディアテーク1階オープンスクエア


「読書」には、紙に印刷された本を読むだけではない、いろいろなかたちや楽しみ方があるのを知っていますか?
今回の展示では、仙台市民図書館とせんだいメディアテークが持っているバリアフリー資料を、7つのテーマ(指で読む/耳で読む/大きな文字で読む/インターネット上で読む/やさしい言葉で読む/手話で読む/映像のバリアフリー)で展示しました。資料は、だれでも手に取って試すことができ、会場を訪れた人にバリアフリー資料の存在や多様な本のかたちを広く知ってもらう機会となりました。

展示コーナーの紹介

1 指で読む
点字つき絵本、さわって楽しめる布の絵本、活字資料を点訳した点字図書を紹介しました。
DSC01127.JPG
▲「点字つき絵本」は、『ぐりとぐら』『こぐまちゃんとホットケーキ』といった人気絵本から『さわるめいろ』シリーズなどゲーム感覚で楽しめる絵本までさまざまな種類があります。絵の部分が透明のインクで盛り上がっていたり、文章が点字でも書かれていたりと、見えない人と見える人が一緒に楽しむことができる作りになっています。

DSC01135●.JPG
▲布やフェルトで作られたさわる絵本には、パーツを動かすことができるものも。一冊一冊がボランティアの手で作られています。

DSC01093●.JPG
▲文字が印刷された資料を点字に翻訳することを「点訳(てんやく)」といい、点訳した本を点字図書といいます。点訳は基本的にすべてひらがなにしてあらわすので、展示していた『仙台方言あそび』(131ページ)は、点字図書にするとファイル2冊分に(188ページ)。せんだいメディアテークでは希望する資料の点訳サービスや点字本データの貸出などもしています。

2 耳で読む
音声を聞いて楽しむ音声デイジーやテキストデイジー、音声と絵や文字を合わせて楽しむマルチメディアデイジーを紹介しました。
DSC01081●.JPG
DSC01144●.JPG
▲マルチメディアデイジーは、読んでいるところをハイライトさせたり、背景や文字色、文字の大きさ、読み上げスピードを変更したりと、読む人に合わせて読み方を細かく設定することができます。視覚障害のある方だけでなく、学習障害や発達障害のある方など、活字による読書が難しいさまざまな方に開かれた資料です。

DSC01089.JPG
▲資料の内容を音訳し、その音声を収録した音声デイジー。専用の再生機にCDをセットして聞きます。本の内容だけでなく、表紙のデザインや本文中の図、写真なども言葉で解説されています。

3 大きな文字で読む
大きな文字で印刷された大活字本や拡大写本の紹介をしました。
DSC01061●.JPG
DSC01167●.JPG
▲青い鳥文庫から出ている「大きな文字の青い鳥文庫」。通常版と比べて、文字サイズが大きく、書体は骨格の細い明朝体ではなく、太くて見やすいゴシック体が使われています。

DSC01105●.JPG
▲拡大写本は、弱視の方のために適切な権利処理をした上で読みやすい大きさの文字に書き直してつくられた本です。宮城野図書館所蔵の拡大写本は、ボランティア団体「拡大写本の会・宮城野」が制作しています。

4 インターネット上で読む
2021年11月より仙台市図書館で始まった「せんだい電子図書館」は、インターネットを通じて24時間いつでもどこでも電子書籍を借りて読むことができるサービスです。
DSC01192●.JPG
▲パソコン、スマートフォン、タブレットなどから読書を楽しむことができます。読み上げ機能やハイライト機能がついている資料もあります。

5 やさしい言葉で読む
知的障害や発達障害のある方などが読みやすいように、わかりやすい文章、写真やイラスト、ピクトグラムなどで構成された「LL(エルエル)ブック※」を紹介しました。
※「LL」はスウェーデン語の「LättLäst」の略で、「やさしく読める」という意味
DSC01091●.JPG
DSC01153●.JPG
▲ひらがなと分かち書きで書かれた文章、ピクトグラムで理解を助けています。

6 手話で読む
手話は、日本語とは異なる独自の文法体系を持つひとつの言語です。手だけでなく、顔の部位や上体の動きなどが文法を示す働きをしています。このコーナーでは、聞こえない子どもたちにとっての自然言語である、手話で絵本を楽しむことのできる資料や活動を紹介しました。
P1170459●.JPG
DSC01186●.JPG
▲手話による読み聞かせ映像
「手話による読み聞かせボランティア養成講座の講師を務めた、明晴プレスクールめだかの池田亜希子先生による読み聞かせ映像。せんだいメディアテークのYouTubeでも公開しています。


DSC01067●.JPG
▲「手ではなすおはなしの会」の紹介
仙台市民図書館とせんだいメディアテークでは、手話による絵本の読み聞かせ会を開催しています。読み聞かせはろう者と聴者によるボランティアグループ「まほうの手」がおこなっています。*前回開催したおはなし会の報告ブログはこちら

7 映像のバリアフリー
せんだいメディアテークの映像音響ライブラリーで貸出をしているバリアフリー資料を紹介しました。
DSC01046●.JPG
▲わすれン!バリアフリー対応版DVD
せんだいメディアテークが運営する東日本大震災にまつわる市民参加型アーカイブ活動「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」では、音声解説・日本語字幕つきDVDを2本発行しています。音声解説と日本語字幕は、メディアテークで活動してきたボランティアが制作しました。*DVDの詳細はこちら

DSC01050●.JPG
▲字幕入りビデオ・DVD、音声解説・日本語字幕つきDVD

そのほか、資料を借りるために必要な情報をまとめたコーナーや、資料貸出以外のサービス、情報発信の取り組みについて紹介するコーナーがありました。
DSC01072●.JPG
▲バリアフリー資料を、だれが、どこで、どのくらいの期間借りられるのかをまとめました。

DSC01070●.JPG
▲左のパネルでは、資料貸出以外の4つのサービス「対面朗読」「リクエスト音訳」「リクエスト点訳・データ変換」「郵送貸出」について、右のパネルでは、読む人に合わせて音訳版、点字版、文字が紙に印刷されている墨字(すみじ)版などさまざまな媒体で情報発信をしている「けやき通り通信」について紹介しました。

今後も、だれでもどこでも読書を楽しめるよう、バリアフリー資料を知ってもらう機会づくりや、サービスの実施に取り組んでいきたいと思います。
(担当:高橋)


x facebook Youtube