報告 2014年07月06日更新

第35回てつがくカフェ「震災とセクシュアリティ5」レポート


【開催概要】
日時:2014 年 7 月 6 日(日)15:00-17:00
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:房内まどか(てつがくカフェ@せんだい)
(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2014/07/35-5.html


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「震災とセクシュアリティ」シリーズ第5回のテーマは「これまでの問いを振り返る」です。初参加の方を含め、みなさんで改めてこれまでに立てられた問いについて考え、さらに議論を深めるためのキーワードを探し、一人ひとりが自分のセクシュアリティ(*1)を考えられるような問いを立てることを目指して対話しました。

はじめに、ファシリテーターの房内さんから挨拶があり、新川和江の詩「わたしを束ねないで」が朗読されました。対話を振り返ると、自由に自分らしくありたいという気持ちをうたったこの詩も、私たちの対話の一部となっていたように感じます。

対話の前半は、これまでに立てられた問いの一覧(チラシ参照)を見ながら、気になる問いや言葉について語り合いました。ここで話題に上ったのは、"自然"と"規範"という言葉です。なぜ自然をよいものと考えるのかという疑問や、自然という言葉が都合よく使われているという意見がありました。また、震災当時、避難所で「それが自然だから」という考えで無意識に決められていった様々な生活のルールが、セクシュアルマイノリティ(*2)の方々の過ごしがたさの原因となっていた例が語られました。

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そこで後半は、「避難所の中における<自然>とは?」という問いを立て、対話を続けました。その中で、前半で語られた"自然"という言葉には、多くの人にとって普通で当然であること(ナチュラル)と、一人ひとりが生まれもつありのままの性質(ネイチャー)という、ふたつの意味があるという意見が出されました。ありのままの私は一人ひとり異なり変わっていくものです。一方で、多数派にとっての自然やそこから生じる規範は、なかなか変わりにくいように思われます。しかし、会場から、今回の対話を通じてマイノリティの方々のことを知り、自分の考え方が変わったという声があり、一人ひとりの意識や考え方が変化することが、みんなにとっての新たな自然をつくることにつながるのではないかという意見が語られました。

今回は、休憩をはさみながら、落ち着いた雰囲気で対話が進みました。「震災とセクシュアリティ」のシリーズでは、今後も引き続き対話の場を開いていきたいと考えています。

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*1 セクシュアリティ...人の性の包括的なありよう。身体の性、ジェンダー、性自認、性的指向等の要素がある。
*2 セクシュアルマイノリティ...性的なありようが多数派でないとされる人たちのこと。同性愛者・トランスジェンダーなどが有名だが、ほかにもいろいろな人がいる。略して「セクマイ」とも。

(参考:レインボーアーカイブ東北 用語解説 http://recorder311.smt.jp/information/33307/

報告:齋藤さかえ(てつがくカフェ@せんだい)





*この記事はウェブサイト「考えるテーブル」からの転載です(http://table.smt.jp/?p=9704#report


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