報告 2018年12月20日更新

【レポート】第68回てつがくカフェ


【開催概要】
日時:2018年11月25日(日)15:00-17:30
会場:せんだいメディアテーク 7f スタジオa
ファシリテーター:齋藤さかえ・安田義人(てつがくカフェ@せんだい)
ファシリテーショングラフィック:三神真澄(てつがくカフェ@せんだい)

(参考:https://www.smt.jp/projects/cafephilo/2018/11/68.html


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第68回のてつがくカフェはこれまでと同様に予めテーマを設けず、前回・前々回で出されたキーポイントやテーマ・定義などを再提示し、参加者と共有することから始めました。
 
第67回キーポイント
・消化することと、忘れることの違いは何か
・(社会システムを)信頼していること、信用していること、信じること、それについて考えていないことの違い
・私たちはどうやって横のつながりを得るのか
第68回テーマ
・定義 怒りとは?
・怒りとは、方向性が不明なエネルギー
・怒りとは、何もできないときに生じる

今回は、参加者の一人が抱えていた悩みを話し始めることから具体的な対話が始まりました。その参加者はあるコミュニティに属し、その中で嫌な思いしていました。しかし、その想いを誰にも相談せずに自分一人で抱え続けていました。それは誰かに打ち明けることがコミュニティの輪を乱すことにつながるのではという危惧、また自分の態度から周囲に自分の気持ちを汲んでほしいという希望からでした。この誰にも相談せず悩みを抱え続ける姿勢に関して、他の参加者たちから様々な意見が出てきました。
 
まず、相手が許せないならばコミュニケーション自体を断ってはどうかという意見。また具体的に自己主張せずに態度で相手に察してもらうという姿勢自体についての是非。他には、批判・非難といったネガティブな発言は聞きたくないという同調圧力によって、本人は話したくても話せない状態にあるという意見。そもそもなぜこのようなコミュニケーション不全は起こるのかという問題提起をされた方もいました。ある一人の悩みについてざっくばらんに対話していった中で「コミュニケーション」というキーワードが浮上してきました。以降では具体的に「コミュニケーション」をテーマに据えて対話が進んでいきました。
 
「コミュニケーション」のなかでも、双方が良好な「コミュニケーション」を築けていないのはなぜかというコミュニケーション不全の原因を探ることから対話は再開しました。その原因の一つとして、異なる価値観を持つがゆえに相手に恐れや怯えを抱くためである、という回答が他の参加者からあがりました。この恐れや怯えを乗り越えるための「勇気」を持てる人・持てる時がある一方で、ない場合には代わりに「怒り」を原動力として「コミュニケーション」をとるという方もいました。ここまでは「コミュニケーション」をとることはいいことであるという前提で対話が進んできましたが、そもそも「コミュニケーション」をとらないことはいけないのか?という「コミュニケーション」根本の是非についても意見があがり始めました。それに伴い、対話前半であがった同調圧力で相手の意見を抑制している状態はそもそも「コミュニケーション」と言えるのだろうか?手段としての「コミュニケーション」のあり方を問う一方で、「コミュニケーション」自体のあり方についても様々な意見があがってきたところで参加者に再度「コミュニケーション」とは何か?という問いをファシリテーターから投げかけ、参加者たちが考えつくことを列挙していきました。
 
「コミュニケーション」とは?
・怒りをモチベーションとする
・人間関係
・目的の有無
・相手のことを知り理解する
・気持ちの交換
・思いやり
・相手がいて成立する
・存在の肯定
 
ここで「コミュニケーション」をさらに考えるためのキーワードを挙げていきました。
・相手の存在の肯定
・言葉だけではない
・相手
・目的の有無(に関わらず)
・勇気
・価値観
 
これまでの対話を通して「コミュニケーション」とは何かを最後に定義しました。
・相手の価値観と自分の価値観の違いに気がつくこと
・自分をひらく
・目的がなくても人に必要なこと
 

これらの定義づけをしたところで対話は終了しました。今回は震災に直接関係する対話はありませんでした。ファシリテーターも特に震災と結びつけるような誘導はしませんでした。今回参加された方々は直接震災に関わる問題よりも身近な問題として「コミュニケーション」を選んだようでした。次回以降も事前にテーマを設けず、参加者の方々とその場でテーマを決めながら対話を深めていきたいと思います。
 

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