報告 2020年12月22日更新

第13回映像サロンレポート


2020年11月21日(土)に、東京エレクトロンホール宮城602会議室にて、第13回映像サロン 人を<支える>ということ~今、震災1年後の映画から考える~が開催されました。

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今回は宮城県白石市出身(現東京都在住)の我妻和樹さんが、「人を〈支える〉ということ~今、震災1年後の映画から考える~」というテーマで、完成を目前にしたドキュメンタリー映画『千古里(ちこり)の空とマドレーヌ』を上映しました。

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本作は震災から1年後の南三陸を舞台に、被災からのお菓子作り再開を目指すパティシエと、彼を応援するボランティアたちの交流を描いた作品です。現在撮影進行中のエンディングが無い状態での上映でしたが、最初の一般上映ということで本作主人公の長嶋涼太さんもマドレーヌを持って駆け付けてくださり、上映後に当時の葛藤や応援してくださった人たちへの思いを語ってくださいました。また、本作の音楽を担当した佐藤真紀さん(当会会員)とナレーションのMIHOさんの紹介もされました。

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上映後の質疑応答では、「8年前の映像なのに古さを感じず、ボランティアもそうだが、長嶋さんのようにこれから何かに踏み出そうとしている人や迷っている人に観てほしい」といった感想が寄せられる一方で、「いろいろなものを盛り込みたかったのかもしれないが、被災地の物語としてではなく、お菓子職人としての長嶋さんをもっと突き詰めてほしかった」といった感想もあり、我妻さんが意図していた「支援・被支援をめぐる人と人の関わり合いの難しさ」というテーマについて、観る人それぞれがいろいろな捉え方をした様子でした。

また、感想や意見の中には、ときに作り手の姿勢や志に対して鋭く問いかけるものもあれば、映像表現・編集技法に対して厳しく指摘するものもあり、参加者の歯に衣着せぬ言葉にヒリヒリする場面もありました。その場で主人公本人が見届ける中でのやりとりだったため、我妻さん自身も作品への意見に関しては「僕の責任です」と長嶋さんをフォローする場面がありましたが、職人である長嶋さんにとっては、互いの向上のためにこうして意見をぶつけ合うことが許されている場があることは新鮮で楽しかったようです。テーマについても映像そのものについてもさまざまな話が飛び交い、我妻さんの今後の制作の課題も浮き彫りになり、クラドルらしい真剣かつ微笑ましい会になりました。

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いろいろな感想や意見が出ましたが、人の思いや葛藤など、撮影された時期に関わらず大事なものが描かれた作品として、多くの人が完成を楽しみにしてくれているのは間違いありません。我妻さん、この度はお疲れさまでした。長嶋さん、遠いところ美味しいマドレーヌをご用意してくださりありがとうございました。そしてコロナの中足を運んでくださったみなさま、たくさんのご意見・ご感想と感染防止のご協力をありがとうございました!


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