報告 2021年03月25日更新

震災10年特別上映企画「10年後のまなざし」レポート


ご報告が遅くなりましたが、227日(土)にみやぎシネマクラドル震災10年特別上映企画「10年後のまなざし」を無事終了いたしました。コロナ禍の中会場に足を運んでくださったみなさま、どうもありがとうございました。


「震災10年を迎えるに当たり、地元宮城のみなさんとともに10年という時間を考えたい」という趣旨で開催した今回の企画。3つのプログラムを軸に、13:0017:30の長時間にわたり、満員のお客さまと大事な時間を過ごさせていただきました。

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まずはじめに、会の自己紹介の意味を込めたプログラムA「みやぎシネマクラドルってどんな会?」では、佐藤真紀さんにドキュメンタリー『光の時間』、岡部誠さんにアニメーション『The Riddle』を上映していただき、Zoomでリモート参加した総合司会の砂子啓子さんの進行の下、お二人に作品制作の苦労やおもしろさ、そして会に参加する上での魅力(大きな刺激を受ける場であり、映像制作の背中を押してくれる居場所でもあることなど)を語っていただきました。

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続いてプログラムB「10年後のまなざし~それぞれが見つめたもの~」では、当会の有志4名が今回の企画のために作った20分程のドキュメンタリー4作品を上映し、その後のプログラムC「震災から10年、わたしが感じていること・伝えたいこと」で上映を踏まえたトークセッションを行いました。

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トークセッションでは、プログラムB出品者である『冬歩き』の村上浩康さん(Zoom参加)、『あいまいな喪失』の山田徹さん、『微力は無力ではない~ある災害ボランティアの記録~』の我妻和樹さん(Zoom参加)、『海と石灰~仮設カフェをつくる~』の海子揮一さんが登壇し、はじめにそれぞれの制作意図を話した上で、参加者が紙に書いた質問を読ませていただく形で、それぞれが考えようとしたテーマについてより深く議論を交わしていきました。

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内容は、被災した土地の営みや現地で生きる人の思い、震災が露呈したさまざまな課題(家族のあり方、コミュニティの変化、環境、原発、社会の分断など)、震災をきっかけに生まれたもの(場所や出会いや長期にわたる関係性など)、激動の時間の中でそれぞれの人が手繰り寄せたものとその現在など多岐にわたり、またこうしたテーマをずっと追い続けながら、考え続けようとする作り手自身の変化や視点の広がり、そして表現する上での心構えにも話が及びました。断片的で何かを解決したり整理したりするような議論にはならなかったかもしれませんが、この10年に見えてきたことを確認するという意味では、ご参加のみなさんにとってもさまざまなことに思いを巡らす時間になったのではと思います。

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今回、コロナ禍で企画当初は無かったさまざまな制約がかかりながらの開催でしたが、共催のせんだいメディアテークさんをはじめとしたさまざまな関係者のみなさんのご尽力により無事開催することが出来ました。クラドルとしても今までに無い試みで、戸惑うことも多く、いろいろ至らない点も多かったかと思いますが、最終的には「やって良かった」という実感が残っています。コロナ禍の中会場に足を運んでくださったみなさま、最後まで本当にありがとうございました。

みやぎシネマクラドルは今後も活動を続けてまいりますので、興味のある方は是非遊びに来てください。今後もどうぞよろしくお願いいたします!

※以下、来場者の方からの感想をいくつかご紹介させていただきます。

・期せずしてこの4作品を観ると、大震災、あるいはそれ以前を含めて、のちの10年間を通して伝承されるべき人・場所・行為・思いなどあらゆる記憶の一端を示してくれたと思います。そして、そうした記録は一層の広さと重みをもって現在進行形であり、ずっと掘り起こされ続けるものと思いました。ドキュメンタリー映像を作るという仕事の果てしない重みを感じました。
・震災から10年の時に各地、各時間、各人のその時を短編作品で知ることができ、非常に大きな財産となりました。貴重な機会を与えていただき、ありがとうございました。
・あれだけの大震災、"忘れえぬ記憶"と思っていたのに、どんどん薄れていくことへの恐怖と自らに対する呆れがあります。今日この4作品を拝見し、各作品の監督のお話を伺うことで震災とその後の10年の自分の体験が立体化されたような気がします。
・伝えていくこと、語り継いでいくこと、震災を忘れないこと、どの方も声に力があるなと感じました。生きるという事に素直に向き合っている人達、どの作品にも印象に残る言葉やシーンがありました。メディアの立場や防災士として、今後ともしっかりと伝えていくことの大切さを改めて受けとめました。ありがとうございました。
・地元に根をはったり、思いを寄せたりして映像制作をしている表現者がこれだけいて、地域をしっかり長期にわたって見つめていることを初めて知りました。対象者との関係をつくらないと映像はとれないと思うので、それぞれの作家の皆さんが全人格的に関わっているのかなと感じました。トークセッションでのそれぞれの思いを知ることができてドキュメンタリーの作品の理解が深まると思います。ありがとうございました。
・映像制作者や個人作家の活動として、これまでの宮城にはなかった活動なのでとても興味深いです。より活発な活動を期待してます。
・若い人たちの作品見ごたえあります。良い関係でかつ、未来へつながる活動だと思います。クラドルの人達をみていると暗い未来は見えないですね。
・ドキュメンタリーを通して、生き方を考える場としても「クラドル」が存在しているのだと思いました。この出会いに感謝したいと思います。またこのような機会があれば参加したいと思います。ありがとうございました。

<当日写真>

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※写真撮影はいつも記録してくださっている会員の土屋聡さんです。


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