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プロジェクトリスト | 民話 声の図書室

2019年04月22日更新 民話ゆうわ座 【レポート】民話 ゆうわ座 第六回「民話のなかのじじとばば 〜 一粒の豆をめぐって 〜」

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■ 日時:2018年12月22日(土)13:00−16:00
■ 会場:せんだいメディアテーク 1f オープンスクエア
■ 主催:せんだいメディアテーク、みやぎ民話の会「民話 声の図書室」プロジェクトチーム
 
 

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1.「民話 ゆうわ座」について 司会進行 小田嶋 利江

 「民話 ゆうわ座」は、みやぎ民話の会有志による「民話 声の図書室」プロジェクトチームとせんだいメディアテークの協働事業である。両者の関係は、2011年の夏に、南三陸町での震災被災体験を語る「みやぎ民話の学校」の記録をせんだいメディアテークに仲介していただいたことに始まる。その後、みやぎ民話の会が約45年間の採訪のなかで記録してきた、宮城県内を中心とする民話語りの音声・映像を次の世代の人々にも共有財産として手渡して行くべく、「民話 声の図書室」の活動をせんだいメディアテークとの協働で立ち上げ、現在に至る。

 その活動の一つが「民話 ゆうわ座」である。民話語りの記録と採訪時の体験を手がかりに、民話についてのさまざまな問いかけについて、参加者が自由に感想・意見を語り合う場となっている。今回のテーマは「民話のなかのじじとばば〜一粒の豆をめぐって〜」。なぜ、日本の民話では「むかしむかし、おじいさんとおばあさんがありました」というように、老夫婦の登場から始まる民話が多いのかについて、みやぎ民話の会が採訪の中で度々聞いた「豆一粒」をめぐるいくつかの話を手がかりにしながら、参加者とともに考えた。

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2.みなさんへの問いかけ  絵本読み語り 島津 信子

 まず、「じじばば」から始まるよく知られた話を参加者に挙げてもらい、それらの話の共通点、[1]爺婆は二人だけで、[2]山際で暮らし、[3]米作り以外の山での仕事を生業とし、[4]最後には幸福を手に入れる、を参加者とともにたしかめた。

 つぎに、「じじばば」で始まる話の中でも、宮城では豆一粒をめぐって語られる「鼠浄土」の話を考えていくために、絵本『ねずみじょうど』(瀬田貞二/再話・丸木位里/絵)を読むことで、おおよそのあらすじを確認した。

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3.伝承の語り手が語る「一粒の豆」にまつわる映像 その一  語り手紹介 加藤 恵子

 「民話 声の図書室」で製作したDVDと、みやぎ民話の会の映像記録の中から、爺婆が一粒の豆を追いかけて、地蔵やネズミのいる地下の世界「浄土」を訪ねる二話、伊藤正子さんの『豆っこと地蔵さま』と、永浦誠喜さんの『豆と地蔵さま--地蔵浄土』を視聴した。

 その後、「一粒の豆」を考える手がかりとして、ダイズと日本人の関わりと歴史が、イネと対比しながら説明された。

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4.みなさんと感想や意見の交換 その一

 「鼠浄土」「地蔵浄土」の話と「一粒の豆」「ダイズ」についての説明を踏まえて、参加者の間で、日本・東北の人々にとってのダイズの大切さと意味深さ、爺婆が米作りをしないことへの疑問、爺婆の民話に主食の米が出てこないことの不思議など、自由に意見がかわされた。

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5.伝承の語り手が語る「一粒の豆」にまつわる映像 その二

 先の二話の「浄土話」とは対照的な「一粒の豆」をめぐるもう一つの話として、爺婆が一粒の豆を拾って豆粉(まめご)を作る「豆粉話」をとりあげ、伊藤正子さんの『一粒の豆っこ』の映像を視聴した。

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6.採訪者の目でとらえた「一粒の豆」をめぐるお話 話題提供 小野 和子

 小野和子が採訪のなかで「豆粉話」と出会った体験を紹介し、語りに沿って、その骨格を説明した。採訪のなかから、陰におしやられていたもう一つの豆の話「豆粉話」に向き合い、それがいままで語り継がれてきた意味を考えた。その手がかりとしてまず、松谷みよ子が「ふるやのむり」について、働き手のない老夫婦がムラ共同体の互助組織「結」からはずれていくという背景を指摘したことを示した。そこに、山際に暮らし最期は首を吊った爺婆の実話、そして土地も労働力も持たない爺婆に許された柴かりのしきたりなど、小野が採訪のなかで出会った語り手の言葉によって、松谷の気づきが具体的に展開実感されたことが紹介された。

 そうした知見と言葉から、小野は「一粒の豆」が象徴するものを爺婆に残された最後の食べ物と考えた。一粒の豆を取り逃がした爺婆は「浄土(あの世)」に行って幸せを得、握りしめた爺婆はその豆一粒を抱きしめて生きがたい生を力強く生きようとする。それが「一粒の豆をめぐるじじばば」の光と陰の話となってそれぞれ語り継がれてきた。そしてそれは、人の生と死、死と再生を象徴的に描いているのではないか、という洞察が示された。

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7.みなさんと感想や意見の交換 その二

 以上の「一粒の豆」をめぐる民話語りの映像視聴と、採訪体験にもとづく洞察意見を踏まえて、「一粒の豆」をめぐる爺婆の民話について、参加者の間でさまざまな意見が交わされた。「話に米作りが出てこないことが納得いかない」「米をめぐる話はムラ共同体を反映した話として別にあるのではないか」「やせた土地に投げ出された豆は爺婆を象徴している」「貧しさと厳しさのうち、民話の本質はきびしさと人が向き合うところにある」「共同体の周辺・底辺の人たちの話を、その中心の人たちが伝えているのはなぜか」「底辺にある人々への鎮魂の願いが伝承を支えてきたのではないか」「切実なものをはらみながらも語りの場は楽しく人をひきつけてきた」「共同体の中からの視点とともに、爺婆の視点で共同体から解放された生が湧きあがるという重層的物語ではないか」などなど、とくに男性参加者からの、多様で洞察に富んだ意見が多く寄せられた。

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 最後に、参加されていた語り手 佐々木健さんの「とんびとんび」の歌に参加者が唱和して「第六回 民話ゆうわ座」は終了した。

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--以上--

  

 

▼板書:瀬尾夏美

 

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報告:小田嶋利江(みやぎ民話の会「民話 声の図書室」プロジェクトチーム)

 

ロングレポートはこちら↓
第六回民話ゆうわ座詳細レポート.pdf(PDFファイル/1MB)
第六回ゆうわ座_当日配布資料.pdf(PDFファイル/4.4MB)
第六回民話ゆうわ座チラシ.pdf(PDFファイル/756KB)